ニクソンが好きである。
Nixon who? と、今時のわかものなら云ふかもしれない。
そんな話がブッフヴァルト……もといバックウォルドのコラムにあつた。
♯「ニクソンを知らないのか?」と驚くんだよ、もちろん。
ニクソンはきつと自分が国民に好かれてゐないことをよく知つてゐたにちがひない。
でもさすがに大統領選に落選した時はがつくりきたにちがひない。
現職の副大統領が次期大統領選に出馬して落選したことなんてそれまでなかつたからだ。
ニクソンがゐたからこそゴアだつてしれつとしてゐられるのである。
そう、ニクソンが好きなのはきつと嫌はれ者だからだ。
そのくせきつちり大統領になつてちやつかり人類初の月面着陸時に宇宙飛行士と話をしてゐたりする。
ウォーターゲート事件だつてもしこれがニクソンでなかつたら、こんなにも忌み嫌はれたりしなかつたんぢやないか。
でも好きな理由はそれだけぢやない。
ニクソンには「指導者とは」といふ大変すばらしい著作があるのだ。
ほんたうに本人が書いたかどうかは定かでない。だが、ニクソンの名で書かれてゐて、おもしろい本であることは疑ひない。
ケネディ風情には絶対書けない本である。
この本、どうやら現在は入手難のやうだ。
実はやつがれも学生時代に図書館で借りて読んだに過ぎない。それでも二度は借りた。一度読了して、その後また読みたくなつて借りた。
当時読んで一番印象に残つてゐるのはド・ゴールの逸話。先の対戦中はグラスゴーに亡命してゐたくらゐだし、当然英語を解したが、米大統領との対談等の時は必ず通訳を使つたといふ。どうやら通訳が話してゐるあひだにいろいろ考へてゐたらしい。また、通訳が自分の意に添はない訳をすると注意したといふ。
どこかの國の総理大臣経験者たちは得意満面英語の腕(舌?)を披露する。
ま、その程度の器つてことだけだけどね。
良書であるその証拠に、本国では新装版といふか再版といふか、そんなやうな感じで出版されつづけてゐるやうだ。
そんなわけで、今日 _Leaders_ を「ぽちつとな」してしまつた。
ま、ニクソンもやつがれなんぞに好かれてもちーともうれしかないとは思ふがな。
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