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Tuesday, 30 January 2007

歴史と伝説

「伝説が終わり、歴史が始まる」といふのは「銀河英雄伝説」の最終行だが。

昨日エントリを書いて後、ちよつと考へることがあつた。
それは「歴史と伝説について」である。

NHK大河ドラマ「新選組!」を放映してゐたころは、やれあそこが史実とちがふのここがちがふのとやたらと「史実とちがふ」ことをあげつらふ輩が多かつた。
それが翌年になつて「義経」になると「史実史実」とたくさんさうに云ふ輩がふつつりと消へた。

をかしいんちやふの。
たとへば弁慶だよ。武蔵坊弁慶は義経の一の家来みたやうな扱ひだが、いはゆる信頼のおける史書には弁慶の存在はない。有名な話といつて五條大橋でLong長刀ふりかざした話と安宅の関の話、それと最期の話くらゐぢやあるまいか。
だからといつて、義経の話に弁慶が出て来たらをかしいんちやふか、と突つ込む輩はゐない。どちらかといへば出て来なかつたら文句を云はれるんぢやあるまいか。

さうさう、幕末あたりのドラマについてだつてめうな点がある。西郷隆盛と坂本龍馬は常にお国言葉で話すが(西郷隆盛については一度だけ、標準語だつたのを見たことがあるが)、長州藩士や水戸藩士、会津藩士がお国言葉で話すことはまづない。だが、そのことを突つ込む人はゐない。史実よりこつちの方が大きな問題だと思ふがなあ。

話がずれてしまつた。

つまり、世の中には「歴史」と「伝説」がある。
そして、多くの場合、「伝説」の方が広まりやすい。
この場合の「伝説」といふのは、まあ上で云ふところの「史実とちがふ」こと、とかだね。
たとへば荒木又右衛門が鍵屋の辻で三十六人斬りをした、とか。
小説や映画、ドラマならその方がおもしろいと思ふが、まあムリでせう、三十六人も斬るのは。
♯やるんだつたら「髑髏城の七人」みたやうにやらないとね。笑。

荒木又右衛門の三十六人斬りがムリなんてのは、普通に考へればわかる話だ。
だが、先の大戦中などは、「荒木又右衛門はほんたうに三十六人斬つたんだ」と主張する教師がゐたのだといふ。
教師に云はれたら、児童・生徒はそれを「是」とするしかない。
そして、さういふ無理強いは、児童・生徒の心に影を落とすことになる。
♯だから奉仕活動を「強要する」のは反対。
♯奉仕活動とはみづから進んでするものである。
♯いはれてやるのはまちがつてゐる。
♯といふのはまた別の話。

「伝説」だつて悪いばかりぢやない。
「日本三大敵討ちのひとつ、鍵屋の辻の敵討ちでは荒木又右衛門といふ人が三十六人もの相手を斬つたといふ話もあるんですよ」と、話のネタにしてもいい。あるいは講談の一節を語つてみせてもいい。
でも、それと「史実」はちがふんですよ、とちやんと教へる必要があるんぢやあるまいか。

…………まあでも昨今は「伝説」でさへ知られてなかつたりするからなあ。
ただ、昨日のエントリで書いたやうな「先の大戦」や日清・日露の話などには「伝説」も多くそれを「愛国心」をあふる材料として使はれたらイヤだなあ、と、近頃の風潮を見乍ら思ふのである。

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