Generation Stand-up Comedy
最近お笑ひ番組を見ることがある。
見てゐて気になることがある。
それは、「そのネタつて、ある一定の年代(とそれ以降)でないとわからないんぢやないの」といふものがあることだ。
たとへば、まんが・アニメーションネタである。
昨今の若手(と目されてゐる)芸人の中には、キン肉マンやドラゴンボールをくすぐりのやうに入れてくるものが多いのだ。
確かに、キン肉マンもドラゴンボールも一世を風靡し、今なほ絶大なるファン層を誇るまんがであるが(ドラゴンボールに至つては全世界の半分くらゐには伝播してゐるのではないかと思はれるが)、それでも、おそらくある一定の年代以上の人にはわからないものなんぢやないかな、と思ふのである。
ためしに職場のもうすぐ四十歳二児の父にそれとなく話をもちかけてみたが、彼はドラゴンボールのことはまつたくわからないと云つてゐた。一方で彼の同期の人間に餃子のフィギュアを見せてみたら「天さんはゐないの?」と逆に訊かれたこともある。
♯ちなみにこの餃子のフィギュア、実によくできてゐるのである。
♯まつこと愛い奴ぢや。
おそらく、ドラゴンボールに関しては四十代を境にわかる人とわからない人が大きくわかれるんぢやないかなあ。キン肉マンもそれくらゐだが、ドラゴンボールよりはまちつと上だらう。
しかし、かうしたネタを披露する芸人たちも人気があるらしい。
しかもTVで見るかぎり、観客はみな笑つてゐる。
客はその場の雰囲気で笑ふこともあるとは思ふが、だが、さういふネタを披露することが許されてゐるといふことは、「わかる人間の方が多い」または「(視聴者の)ほとんどはわかる人間である」とみなされてゐるからなのではないか、と思ふのだ。
んー、さうなのかなあ。
まあお笑ひといふのは差別的なもので、笑ひのわからない人を笑ふといふ面もあるかとは思ふので、そんなに気にすることはないのかもしれない。
でも、芝居噺なんかはあきらかに客席に来るやうな人間はみんな知つてゐるといふ前提で語られてゐたと思ふんだよな。今芝居噺がほとんどかからなくなつてゐるのは、客席に来る人間がみな知らないからだらう。
♯え、噺家自体の素養の欠如?
♯それを云つちやあおしめえよう。
もちろん、万人にわかるネタなんてないだらう。理由はわからなくても、モンティ・パイソンでマルクスがサッカー関連のクイズを出されて答へられずおろおろする姿を見て笑へるといふこともある。
♯マルクスは労働者の味方だからサッカーについて詳しくなければならないのである。
それとも人気がある中でもずば抜けてゐる芸人たちはさういふ「世代に頼つたネタ」は使はないのかな。
夕べ、伊集院光と太田光がこの上なく楽しげに「死神」の内容を披露してゐてうらやましくなり、なんとなくこんなことをあらためて考へてしまつた。ふたりとも、「好きなんだなあ」つて感じでとてもよかつたのだ。キン肉マンやドラゴンボールをネタにする人々も、自分が好きで仕方がなくて使つてしまふ、といふ感じだといいなあ。
ちなみにやつがれは圓生の「死神」で育つた。残念乍ら高座を見ることかなはなかつた。
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Posted by: e-アフィリ | Saturday, 23 September 2006 13:58