自分を雇ひたい
いや、自分が「よい社員」とかさういふ意味ではなく。
他人は雇ひたくないし、他人に雇はれたくない。
さういふ意味である。
こちらのweblogを拝見してゐて、こんな内容の書き込みがあつた。
「同級生に有名な作家になつた人がゐるんだけど、この前陪審員として呼ばれて行つた時、こんなことがあつたんだつて。職業を訊かれたから「作家です」つて答へ、「雇用主は?」つて云はれたから「うーん、ゐません。本を書いてゐるんですよ」つて答へたところ、書記は「無職」つて書いたつて」
まあしかし、作家といふからむづかしいのかもしれない。たとへば全然売れてなくても、たとへ本の一冊も出してなくても「オレは作家だ」と宣言したら作家なのかもしれない。ただ失業中なだけで。
「他人に雇はれたくない」といふのはなんと傲慢な態度か、と思はれるかもしれない。
だが、他人に雇はれるといふのはやはりひとつの才能だと思ふ。他人に雇つてもらへるなんて、自分に自信がなければできないことである。
ふりかへつてやつがれには自分に自信がない。今の会社に入社できたのは、面接に携はつた人々がなんだかわからないけれども目がくらんでゐたやうにしか思はれないからだ。面接の時、妙に面接員の人は浮かれてゐた。こちらがたいしたことを喋らなくても上機嫌で「うんうん」とうなづいてゐた。あまりに機嫌がいいので、「ああ、もうダメかもしれない」と思つたほどである。
しかし自分を雇ふには、やつがれはmanagementの才に欠け過ぎてゐる。
他人に雇はれるといふことは、さうした自分に足りない能力をよそに求めるといふことなのかもしれないなあ。
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雇用主がいないと無職なのですか。
では、雇用する人側はすべて無職?そんな無茶な……。
訊き方間違ってると思うんですが、それ。
Posted by: Riko | Monday, 24 July 2006 02:53
世の中杓子定規でしかものごとをとらえられない人が多い、ということなのかなあ、と。答える人も「自営業です」って答えればよかったのかな、とも思いますが、でも「作家」って云ったらねえ、雇い主ってなにって思いますよね。
Posted by: 雅亮 | Monday, 24 July 2006 23:16
なにって思いますよ。
どこの出版社で書いているか、でしょうか。
それにしてもフリーな人などいくらもいるでしょうに……。
Posted by: Riko | Tuesday, 25 July 2006 00:53