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Thursday, 15 June 2006

大丈夫かと訊かれたら

箱根駅伝で、疲労骨折のため棄権した選手の談話である。
山梨学院大学の選手だつたと思ふが定かではない。

傍からどう見てもこの選手はどこかをかしいといふ状況で、それでもなほ監督は、車の中から、
「大丈夫か」
と訊いてきたさうである。

選手としては「大丈夫か」と訊かれたら「はい」と答へるしかない。
特に種目が駅伝である。自分が襷の流れを断ち切つてしまつたら……と考へると、決して「もうダメです」とは答へられまい。

おそらく、この選手は監督に「もうやめろ」と云つてほしかつたのだと思ふ。
ちがふ大学だが、同じ箱根駅伝でやはり疲労骨折が原因で途中棄権せざるを得なかつた選手に対してその監督は、コートを手にしてみづから車を降り、それでもなほ逃げやうとする選手を抱きとめたことがあつた。

集団として働く場合、時としてかうした判断が必要なのだと思ふ。

先にあげた監督のやうに、さうした判断はすべて選手にまかせるといふのもひとつだ。もう大人なのだもの、自分のことは自分で決める。さうあるべきである。
それは多分正しい。

今やつがれも普段まつたく顔をあはせない上司から「大丈夫か」と訊かれてゐる。
仕事の進捗のことなら冷静に論拠をあげながら大丈夫かどうか語ることはできる。
だが自分のことに関しては……?

未だ「ダメ」とは云へずにゐる。

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