オペラ歌手とスポーツ選手
数年前、初めて「ローエングリン」を聞きに行つた時のこと。
白鳥の棋士はルネ・コローだつた。
さう、あの原宿でオヤジ狩りにあつたルネ・コローである。
はじめてのことでよくわからなかつたが、どうやらコロー、調子が悪かつたらしい。
一幕目が終はつた後の幕間に、こんなアナウンスが流れた。
「ルネ・コローは風邪をひいてゐます。でもこの後も続けて出演します」
客席は一瞬戸惑つたやうな沈黙に包まれた後、拍手に覆はれたのだつたが。
やつがれはなんだか納得がいかなかつた。もちろん拍手もしなかつた。
仮にもプロである。しかも、オペラの席は法外な価格ときてゐる。
♯ま、価格については本邦の問題なのかもしれないが。
風邪をひいてゐるのなら最初から出なければいい。
出るんだつたらそんなこと云ふ必要はない。
今だつたらさう思ふ。
東京女子マラソンを見てゐて、そんなことを思ひ出した。
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