いまごろですが韓流ブームに思ふこと
房中術といふものがある。
……いや、イヤラシい話ぢやない。
といふか、やつがれが書くとどーもイヤラシくならないので、ま、そこはそれ、といふことで。
乱暴承知で簡単に云ふと、性の営みを利用して不老長寿を達成しませうといつたもの、といふところか。
不老長寿といふのは長く人間の求めてきた夢、かどうかは定かでない。
苦しい暮らしを続けてゐる人は、二度と人間になど生まれ変はりたくないと思ふものだらうし。
だが、ある程度人生を謳歌できるやうになると、生まれてくるのが「老いずに長く生きる」ことへの欲望なのだと思ふ。
おそらくは房中術も、悦楽とさうした欲望とがうまいことからみあつて生まれたものなのだらうと思ふ。
正式にはいろいろあると思ふのだが、手つ取り早く若い相手から若さを吸ひ取るといふ手がある。
房中術ぢやなくても、エリザベス・バートリのやうに若い処女の生き血に全身を浸して若さをたもつた、なんてな話があつたりする。
自分が年を取つたらより若く生命力にあふれた相手から若さを得る、といふのは洋の東西を問はず、安直にも思ひつくやうな手段といふことだらう。
はづかしながらやつがれは、「韓流ブーム」でおばさま方がもりあがつてゐると耳にした時、この「おばさま方」といふのはやつがれと同じくらゐの年齢の方をさすのだと思つてゐた。
なぜなら、当時職場の片隅で同年代からまちつと若いあたりの女の子たちがたれが好きのあたしはたれの贔屓のときやいきやい騒いでゐるのを目の当たりにしたことがあつたからである。
これがね、最初は職場での話だからといふので聲を抑へてゐたのだが、次第に黄色い聲のあがり、さいごにはぴよんぴよん飛び跳ねながら話すに至るといふ、「ああ、ほんたうに好きなんだなあ」といふのが傍から見てゐてよくわかる、とてもおもしろい光景だつたのだが、今回はその話ではない。
ところが、「報道ステーション」を見てゐたら、古館伊知郎が「今韓流ブームでもりあがつてゐる方たちは、ビートルズ来日の時に乗り遅れた人々ぢやないか」といふやうなことを云つてゐて、大変驚いた。
ビートルズ来日つて……やつがれの親の世代? いや、ひよつとしてもつと上?
実際にニュース等で映像を見てはじめて、「ああ、「おばさま」つて、やつがれの親世代やその上の方々のことだつたんだ」としみじみすることになる。
おそらく。
あのおばさま方は、韓流スターから若さをもらつてゐるのである。
昨今の本邦の芸能人・アイドルには若さを与へてくれさうな人材が払拭してゐるのにちがひない。
「おばさま方」の映像を見るたびに、年甲斐もなく(だがそれが悪いこととは云はない)奇聲を発してゐるさまを見かけるたびに、そんな気がしてならないのである。
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