つれづれ英雄ここにあり
といふ題名だつたと思ふ。その昔。
久しぶりに本でも読むかと本屋で手にしたのが集英社文庫の柴錬三国志である。昔は前半(?)が講談社文庫で後半(?)が集英社文庫だつたと思ふ。講談社文庫の題名は「英雄ここにあり」で集英社文庫の方は「英雄生きるべきか死すべきか」だつたと記憶する。
どちらにもある「英雄」といふことばをもつてきて「英雄三国志」になつたんだらう。
柴錬、あひかはらず文庫で出てゐて重畳といつたところ。
古本屋(ブックオフではなくてね)に行くと、源氏鶏太とか獅子文六の文庫なんてのに目がとまる。あと五味康祐の柳生ものの文庫。最近新刊書店ではとんと見ないが、以前はかなり出回つてゐたのだらうと察する。
実は柴錬の本を買はうと思つた時、「ひよつとしたら柴錬の文庫なんてもう本屋にはないんぢやないか」といふ不安があつた。源氏鶏太・獅子文六・五味康祐の例を待つまでもなく、人気がなくなつたら書店の棚から本は姿を消すものだからだ。
だが、取り越し苦労だつた。講談社からも新潮社からも集英社からも文庫が出てゐる。あ、あと文藝春秋ね。
世の中捨てたもんぢやないなあ、とえらさうに思ふ。
文春文庫の柴錬といふと、「我ら九人の戦鬼」が好きだつたなあ、こどものころ。新刊書店で探してもないのだが。あれはおもしろかつたと思ふんだが、なつかしさのあまり美化してしまつてゐるのかもしれない。
三国志演義も柴錬の手にかかるとたまにエグい展開になつたりする。董卓が自分の手下の宦官を増やすあたりとかね。そんなんほかの三国志には出てこないやうな気がする。
以前、内藤陳が、「いろんな作家が独自の三国志を書いてくれたらいいのに」といふやうなことを云つてゐて、「うむ、それはおもしろいかもしれない」と思つたものだつた。今はそんな元気はない。
かと思つたら明石散人は、「日本で三国志やら水滸伝やらをやたらと翻案して本にしてゐるが、あれは中国から見たら大変不敬なことである」とか云ふし。さういふものなのだらうか。よくわからない。
いづれにしても、三国志演義を自分なりに書かうといふ向きには、やうすのいい文体で書いてくれたらなあ、と思ふ。
柴錬の文章は今読んでもやうすがいい。
いつまでも手に入りやすい形で本屋にあるといいなあ。
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