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Friday, 10 June 2005

山の月の記

「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」といふことばをはじめて目にした時の衝撃といつたらなかつた。
それはまさに自分のことだつた。なぜこの物語は俺のことを語つてゐるのだらうと訝しんだ。
そして「さうか、俺もいづれは虎になるのか。いや、虎ならまだいい。尊大な羞恥心の肥大した豚になるのだらう」とつくづく思つたものだつた。

あるいは、と思ふ。
もう少し早くこの小説に出逢つてゐたら自分もかはつてゐただらうか。「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」とを飼ひならし、うまく世の中を渡つていけるやうになつてゐただらうか。

もしかしたら、とは思ふ。
高校二年生の時、しかも他人より一年遅れてゐる自分ではなく、中学生、もしくは小学生の時に出逢つてゐたなら、猛獣使ひになれてゐたかもしれない。

おそらくは出逢ひが少しばかり遅すぎた。高二のころ、すでに自分の中の自尊心と羞恥心とは手に負へぬ状態だつた。

この小説は、おそらくはその長さゆゑに現代国語の教材としてとりあげられるのだらうが、もつと早いうちに読ませた方がいい。さうしないと手遅れになる。

この俺のやうにだ。

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