早く家に帰りたい
午後、社の用事があつたので早めに帰る。
帰宅すると午後七時。
途中の電車やバスはいつもの時間より混んでゐたけれども、なんだかとつてもゆつたりした気分だ。
毎日こんな時間に帰つてこられたらなあ。
今 _It's My Party And I'll Knit If I Want To_ といふ本を読んでゐる。
豪州のニッタ事情を書いた本で、「編物つておばあさんの趣味だと思はれてゐるけれど、今は働き盛りの女性の趣味でもあるのよ」みたやうな内容である。んで、おばあさんとの編み方の比較なんかも書いてある。
その中に、「わたしたち、張り合つてるのよ」みたやうな話が出てくる。
ニッティング・グループに所属するふたりの女性が、あみものについて競争してゐる、といふのである。
「あたしなんか、夕べは十一時半まで編んでたのよ」
なんぞと無邪気に発言するのを読んで、
「……それつて下手したらやつがれが職場を出る時間なんぢや」
と暗澹たる気持ちになつたとしてもふしぎはあるまい。
#あ、最近はさうでもないです。はい。
くどいやうだが。
この本に出てくるニッタの方々はみな立派なお仕事をもつた方々である。肩書きもあつたりする。家庭もあるし、子供を育ててもゐる。
さういふ人たちが夜の十一時半まで編物をしてゐて、それが競争の種になる、といふのが……
嗚呼、なんとも羨ましい。
もし夜七時に家に着くことができれば。
やつがれもまた、「夜の十一時半まで編んでたんだぜ」と自慢できるだらうか。
……ダメだ。前提がまちがつてゐるものな。
本邦ではそんな早い時間に帰つて来られる働くニッタはさうさうゐないに相違あるまい。
« 嘆けとて | Main | 毎日毎日こつこつと »
« 嘆けとて | Main | 毎日毎日こつこつと »
Comments