イメルダな気分
昨日アントワネットさまな気分にひたつてゐたばかりだといふのに。
今日は一転イメルダ・マルコスな気分である。
さう、大量の糸を目の前にして、
「いつたいイメルダはあれだけの靴をどうするつもりだつたんだらう」
と考へながら。
靴は、まあ基本的には履くものである。
世の中には一度着た服は二度と着ないといふ人もゐて、イメルダもその伝だつたのかもしれない。
一度履いた靴は履かない。
しかし。
服も靴も好みがあるものだ。
一度着たら一度履いたら、もう手放せないといふものがあるんぢやないかと思ふんだがなあ。
特にやつがれのやうに「着つつなれにし」といつた趣の服が好きだつたりすると、ちよつとよれつとくたつとしたやうな状態にするには何度も何度も着ないといけない。
……まあ「一度来た服は二度と着ない」なんてな人はぱりつとした服やしつけ糸を抜いたばかりの着物なんかが好きなんだらう。
ところで糸である。
糸はこれから服にしたり敷物にしたりするものである。
「一度編んだら二度と編まない」はいいかもしれないが、しかし、カセやタマの状態で存在する糸をどうしたものか。
さう、つまり、昨日やつてもーたのである。
パピーのリネンシルク十玉、
同じくパピーのコットンコナを色違ひで二十五玉
それが今、目の前にある。
もちろん、どちらも三割引以上の安売りではあつた。
そしてもちろん、どちらもなにを編むか決めてある。
決めてはあるが……
そんな状態で引き出しに眠る糸がいくつあることやら。
冷静に考へると、今のスピードでは一生涯で使ひきらないほどの糸が手元にあることになる。
そんな気がする。
だが、やはり好きな糸といふのはあつて、ついつい買つてしまふものなのである。
昨日の戦利品を横目に、一心不乱に Cul-de-Sac を編みつづけるやつがれであつた。
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