病膏肓に入る
人間、熱があつても好きなことならできる。
かつての同僚がよく云つてゐた。熱があつてもテニスならできる。予定が入つてゐたとしたら、絶対にテニスをしに行く、と。
そんなことが可能なんだらうか。熱があつたらちよつと動くだけでも億劫なのに、テニスだなんて無理ぢやなからうか。
当時やつがれはさう思つた。
ところが。
昨日、チト目覚めた時に、くつ下の続きを編み出し、しかもなんだか落ち着いた気分になる自分に気づいて、「さうか、さういふことか」といふきがした。
このくつ下、パピーのグランメリノといふ毛糸を一号棒針で編んでゐる。すなはちそれなりに細い糸をかなり細い針で編んでゐる。一応レース編みで、しかも丁度踵を編むところでパターン(英語だ)と首つ引きだつたりする。
そんなところを延々編んでゐて、しかも熱があつてぼーつとしてゐるにもかかはらず、これが楽しくて仕方がなかつた。
うーん、病膏肓に入るとはこのことか。
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