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Thursday, 20 January 2005

いつまで読みつづけられるだらう

ここのところ昔のやうに橋本治と中野翠を交互に読んでゐる。

やつと中野翠の新刊「ここに幸あり」を amazon で購入した。去年はチト別だが(地獄だつたのでね)、例年正月休みには中野翠の新刊を読んでゐる。今年はかなり出遅れてしまつた。

サンデー毎日に連載されてゐるコラムを編んだものなので、読んでゐると「ああ、去年のこのころ、こんなことあつたな」とか「こんなことあつたつけ」などと思ふ。これが正月気分になんとなくふさはしい感じがするのだつた。

ところで、中野翠といへば「ウテナさん祝電です」で「ブスは嫌い」などとぶちあげてゐたといふ印象が強い。また、サンデー毎日の連載がはじまつた当初はなにかと今でいふ「ホームレス」への仲間意識といふか「いつ自分もああなるかわからない」といふやうな記述が多くて、そぞろ共感をそそられたものだつた。

なにを隠さうやつがれも、通勤電車に揺られ県境の大きな橋にかかるたびに「……ああ、もう自分の居場所はないかもしれない」と思ふのである。橋の下は青いテントやビニールシートで一杯で、今更新参者が入る場所はなささうだからだ。そして、もう入る場所はないと思つてゐたところにテントが増えてゐたりする。毎朝そんなことを考へながら職場にむかつてゐるといふわけだ。

しかし、人間、いくつになつても成長するものである。
いはゆる「ホームレス」に関する記述はいつしかまつたく見られなくなつた。

それでも読んでゐるのはなぜだらう。
映画趣味もあふとは思へないし、中村屋についても中野翠ほど手放しで誉める趣味はない。中野翠ご贔屓の笠智衆なぞみづからは嫌いだよ、だし……。

だが、パソコンや携帯電話に対する嫌悪感はわかるし、好きな映画はともかく嫌いな映画は似てゐる。
このあたりが読みつづけてゐる理由かもしれない。

さて。
今回驚いたのは、今の若い人がヴィスコンティを知らないといふこと。特に二十代の人はよほどの映画好きでないと知らないのだといふ。
え? ほんたう?
ぢやあヲレはなんなんだよ。去年は一回も映画館に足を運ばなかつたが、ヴィスコンティの映画なら見たことあるぜ。少なくとも「ヴェニスに死す」は大スクリーンで見たし、その他はTVの名画劇場で見た。今回出てくる「山猫」なんかも見たぞ。
……なるほど、やつがれが近頃映画館に行かない所以はこのあたりにありさうだ。

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