会社人失格
社会人としてはともかく会社人としては失格のやつがれである。
それはもうせんわかつてゐたことであつた。
たとへば、「所属する」といふことに異様に警戒を抱く。
「個人情報」なんてことばを使ふことがなかつたやうな時代から自分の名前・生年月日・住所・電話番号などが余人に知られることを厭ふてゐた。だから懸賞なんぞにはほとんど応募したことがないし、通学定期を購入する時などでも虚偽の電話番号を書くやうなこどもだつた。
どこかに「所属する」といふことはあるていどさうした個人情報を所属先に公開する必要がある。
これがたまらなくいやだ。
家で仕事をするならまだしもさうではないのだからどこに住んでいやうがかまふまいに。
確かに。
身元不詳のものを雇ふわけにはいかないといふ理屈はわかる。
わかるから余計にいやなのである。
おそらくこの問題は freelance で働くにしてもついてまはることだらう。
そしてもつといへば、生きてゐる限りは市町村に都道府県に国に所属しないわけにはいかない。
あとは死ぬしかないのか。死ねば「所属すること」から自由になれるのか。
死んでみなけりやわからない。
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