うそつきが好きよ
以前のエントリにも書いたやうに、異星人の仕立て屋さんが好きである。「スタートレック ディープスペースナイン」に出てくるカーデシア星人・ガラックのことだ。
好きな理由も以前述べた。「きみの話はうそばかりぢやないか。いつたいほんたうのことなんてあるのかい」と訊かれて「すべてほんたうですよ。とくにうそがね」といふあたりにまゐつてしまつてゐるあたり、病膏肓に入るとはこのことかと時々思つたりする。
さて。
そんな「うそつき好き」にはたまらない本を読んだ。
橋本治の「嘘つき映画館 シネマほらセット」である。
もう全篇これうそ、といふ大変すばらしい本だ。
#いや、作者あとがきにもあるけれども、ほんとのことも書いてあります。
#要所要所に。
橋本治の頭の中にしか存在しない数々の映画を紹介した書である。ハリウッド版「七人の侍パートII」やらオードリー・ヘップバーン主演映画「昼下がりの情事」や「麗しのサブリナ」を滝沢秀明主演でリメイクした映画やら白石加代子主演で月影先生にキャサリン・ヘップバーンといふ「ガラスの仮面」やらピーター・フォンダ主演で「寅さん」化した「サイコ」シリーズやら……。とにかく「こんな映画があつたら絶対見たいっっ」といふやうな架空の作品目白押し。
「バトルロワイヤル PTA」なんて、ほんと、見てみたいよなあ。こんな邦画ならヲレも見るよ。
さう、やつがれは映画をほとんど見ない。去年は結局一度も映画館に足を運ぶことはなかつた。
その前は週一くらゐの割合で映画館に通つてゐた時期が二度ほどある。
なんで見なくなつたか、といふと……うーん、「女優をうつくしくうつす」映画がなくなつたから、かなあ。こどものころTVの名画劇場で「逢引」を見た時、主演の女優さんは決して美女ではなかつたが、カメラが可能な限り彼女をうつくしくうつさうとしてゐたことに感銘を受けて以来、「やつぱ主演女優はきれいにうつさなきやなー」派なのである。ちなみに「エイリアン」のリプリーはうつくしくうつつてると思ふのですが、あなたどう思ひますか?
それはさておき。
橋本治には「アストロモモンガ」といふ本もある。これは前世紀末に出版されたもので、まあいはゆる占ひの本である。一見したところは。
内容はといふと、全篇口からでまかせといはうか筆からでまかせの書なのであるが……作者によると「予言があたつてゐてこはい」部分もあるのださうな。
この本も好きで好きで時々ぱらりとめくつてしまふ。
「うそつきが好きよ」なんぞといふ人は、なんぞといふ意見もあるのだが(つてヲレの意見だがね)、それでもかういふうそなら大歓迎だ。
それにしても、やつてくれるなあ、橋本治。
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