好きつていふのはむづかしいのよ
中野翠をもうせん追ひかけてゐる。
多分、最初の本が出版されてからずつと。
確か林真理子の「ルンルンを買って云々」といふ題名の本とほぼ同時期に発売されたと記憶してゐる。
こんなとことは書きたかないが、おそらく林真理子の方が人気があつたのだらう。
だがやつがれは絶対中野翠派だつた。
惚れたのはれたのといつた話にさほど興味がなかつたからだらう。
だといふのに、今回はまだ毎年年末に出る中野翠の本を入手できてゐない。
なぜか最寄り駅にある大型書店の支店は中野翠に冷たいらしく、毎回「そろそろ出てゐるだらう」と思つていつてもおいてないことが多い。少しはなれた駅の書店に行けば並んでゐるにもかかはらず、である。
……考へてみれば、amazon で買ふつていふ手もあるよな、と思ひつつも、本屋に行つてみたところ。
「我楽多じまん」といふ本を見つけた。
その前に立つてゐるのもはづかしいやうな本棚に並んでゐて、チトどうしやうかとも思つたが、そこは好きになつた方が負けだといふので我慢した。
「我楽多じまん」は中野翠が収集した antique などを紹介した本である。antique といつても必ずしも高価なものばかりではなく、著者が愛してやまぬものが掲載されてゐる。
残念乍らやつがれはあまり長いことひとつのものに執着するといふことがないので、そこらへんの感覚を心から理解できてゐるとはいへないのだが、たとへばこけしやモール人形を愛する気持ちといふのは読んでゐて楽しいものである。
weblog なんぞを続けてゐると、自分が好きなものについて書くつてむづかしいな、と思ふ時が多い。嫌いなもの・いやなものについてはいくらでも書けるのに、好きなものについてはなかなかうまく書けない。書いても書いても「これつて読み手につたはるのかな」と不安になる。
もつと好きなもののことを書かう。書けるやうになりたい。
そんな気分にさせられた。
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