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Wednesday, 12 January 2005

カスパロフとお近づきに

カスパロフの本がやつてきた。
_My Great Predecessors Part I_ である。

チェスがわからない人間が読んでおもしろいのか。
これが今回の挑戦課題だ。

将棋や囲碁の観戦記は読んだことがある。将棋の名人戦や竜王戦の観戦記は毎年一冊の本にまとめられるが、これも買つたことがある。
観戦記といふのは、これが案外おもしろいものである。
「将棋世界」などでも、観戦記におもしろいものがあると残り記事の大半はわからないくせに購入してゐることもたびたびだ。

指せも打てもしないくせに観戦記がおもしろいのは、野球や蹴球がわからなくてもうまい人に解説してもらふとおもしろく見られるのと似てゐる。
また、野球や蹴球などで、名選手たちがすばらしい form ですばらしい技をくりだしてゐることは、そのスポーツがわからなくてもあるていどは堪能できる。

囲碁や将棋にもさういふところがあつて、たとへば一目見た時に盤面のやうすがうつくしい、なんてなことがある。
盤面はうつくしければいいといふものではないけれども、まあさういふ楽しみ方もあるといふところだ
♯といふよりは、やつがれはさういふ楽しみ方しかできない。
♯ゲームをわかつてゐないからである。

将棋や囲碁がさうならば、チェスも同様のはず。
といふわけで、読み始めてみたところ。

まづ、文章が平易で読みやすい。これ、重要。
そして、各棋士が、「この時期世界はこれこれかういふ情勢であつたので、かういふ棋士が出てきた」といふやうに紹介されてゐるのがおもしろい。スターリンの時代・フルシチョフの時代・ブレジネフの時代にはそれぞれその情勢にそぐつた棋士が登場した、といつた具合である。あるいはフラワー・ムーヴメントの時代にはそれらしい棋士が Grand Champion になつてゐる、とかね。
囲碁や将棋の棋士にもかういふことつてあるのかな。たとへば田中角栄が総理大臣だつたころにはそれらしき棋士が活躍してゐた、とか。さういふ評論みたやうなものつてあるんだらうか。

内容はすぐに棋譜解説のやうな状態になる。
最初、チェスの棋譜の見方がさつぱりわからなくて閉口したが、三つも見てるとだんだんわかつてくるんだな、これが。
わかつた時の「ちやりらりら〜」感、すなはち「雅亮のレヴェルが一つあがつた」感はこたへられない。

そんなわけで、もうさつぱりわかつてゐないのだが、結構楽しく読んでゐる。
ちよつとでも興味がある向きには是非手にとつていただきたい。

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