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Saturday, 22 January 2005

Only one より Everyone

最近、なんとやらいふ団体の「オンリーワンがどうかう」といふ歌詞の歌を聞いた。
一昨年流行した歌だといふ。
うはさだけは聞いてゐたので「ああ、これがそれか」と思つた。

……昨今の流行歌といふのはみなかういふ感じなんだよなあ。何百万枚売れた、なぞと話題になるが、終ぞ聞いたことはない。題名も知らなければさはりの部分もわからない。
昔は八十万枚売れれば老若男女その歌を知らないものはなかつたし、近所のバアさんの話によれば、バアさんが小学生の時は学校から「お富さんを歌はないやうに」となんと「お富さん禁止令」まで出たのださうな。

やつぱり禁止されるくらゐ流行らなきやウソだよね。

もとい。
話がそれてしまつた。

それで思つたのだが。
「Only one より Everyone だよなあ」といふのがやつがれの感想である。

「え、なに云つてんの?」といふ向きもあらう。
「これからの時代、Only one だよ」といふ向きもあらう。
ほぼ日手帳にも「ONLY IS NOT LONELY」と記されてゐる。

でもさう云ふ人はきつとこんな体験をしたことがないからだ。

想像してみてほしい。
観客が二千人から入る劇場の客席にゐるところを。
そして、客席万来の拍手の中にゐるところを。
でも自分は全然何がいいのかわからず、なんでまはりがみんな感動して拍手してゐるのかわからない。

そんな場面を頭の中に描いてみてほしい。
この時、自分はまさに Only one の状態である。いや、もちろん二千人もゐれば中には一人くらゐ同じやうに感じてゐる人もゐるかもしれないし、役者やスタッフをあはせればその倍以上の人数がその場にゐてもをかしかない。さうした相手役やスタッフの中には「くだんねー芝居やつてんぜ」とか思つてる人もゐるかもしれない。

だが、どうみても劇場全体に拍手の嵐鳴り止まぬ中、ひとり無風状態にゐるとしか思へない。

これ、ねえ、こたへますよ。

高い木戸銭払つてこれだよ、もう禁断の掛け声、小田急線東海大学前駅の前名の音読みを口にしてしまはうかなつてな時に、だ。
たれもヲレを支持してくれる客がゐない。
つらいよねえ。

こんな時、ほんたうに「ああ、ヲレは Only one でなくていいっっ。Everyone になりたいっっ」と思ふ。心底思ふ。
だつて Everyone の方が絶対楽しいもの。愉快だもの。感動できるもの。

どうせ、拍手できないのはつまらない理由からなのである。やつがれの場合、大抵は舞台にゐる俳優と呼吸が合はないことが多い。たとへば愁嘆場で、こちらとしてはもちつとためてほしいのに、ためもなにもなくわーっと感情を爆発させる演技をするやうな俳優とは合はない。しかもためない奴に限つていつまでもいつまでもうぢうぢした演技をしやがる(をつと失礼。でもこれほんたうの話)。
こちらはもう出鼻をくじかれてゐるわけだから早く終はつてほしいのに、いつまでもいつまでも泣きの演技を続けられたらどういふ気持ちになるか、おわかりいただけると思ふ。

だがこんな時、ちやんと俳優のリズムに乗れてゐれば全然問題ないではないか。

ああ、なぜヲレは Everyone ぢやないんだっっ。

まあねえ。
「人類皆兄弟」とか云はれると、「「皆」つてたれだよ」とか思つてしまふ人間は、なかなか Everyone になるのはむづかしいかもしれないねえ。

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