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Monday, 29 November 2004

なつかしい人々

何度も日誌に書いてゐるのでくどいかと思ふが、しかしなんとなく思ひ出しては書いてしまふ。

幼い頃、我が家に「牛若丸と弁慶」といふ本があつた。
小学校二三年くらゐを読者に想定した本だつたと思ふ。
表紙はちやんと牛若丸と弁慶の描かれた本だつた。

ところが内容がなあ……
ひとまづ五条大橋の話が終はると、次からは牛若丸も弁慶も出てこないのだつた。
別段牛若丸が源義経になりました、といふわけでもない。

なんだかわからないけれども、いけずきとするすみといふ馬とそれぞれに乗つた武士(佐々木高綱と梶原景季)が先陣を争ふ話とか。
木曾義仲と倶梨伽羅峠の牛の話とか。
やつと義経が出てきたと思つたら鵯越のさかおとしの話だつたりとか。
熊谷次郎と平敦盛の話とか。
またまた義経と弁慶で安宅関の話とか。
いきなり「しづやしづしづのおだまき繰り返し」とか。

しかしまあここまでは源平合戦の話、といつてもまだいいかと思ふ。
この次からがまたすごいんだ。
北条時頼と佐野常世の三つの鉢の話がでてきてしまふのである。
次が日蓮の短い伝記みたやうな話。
最後は元寇の話で〆。

こんなのが幼稚園くらゐのころの愛読書だつた。

その他別に「源義経」の伝記絵本や子供向け伝記もあつたし、子供向けの「平家物語」を読んだりもした。
多分、斎藤別当実盛の話なんかはこの「平家物語」で読んだやうな気がする。

そのまま「源平ヲタク」の道を歩んでゐたら今のやつがれはなかつたかもしれない。
もともとそれほど本好きといふわけでもなかつたのがよかつたのか、さうはならずに済んだ。

だが、小さい頃の記憶といふのはおそろしいものである。

大きくなつて芝居を見に行くやうになつて、突然思ひ出すのである。

「これ、昔好きだつた話だっっ」
「この人、知つてるっっ」

なんだかわからないが、くりかへしくりかへし読み直した話が次から次へと出てくるではないか。
みづから幽霊と名乗るこの人は、「見るべきほどのことは見つ」と云つて潔く自害した人。
首実検の場で自身の子供を犠牲にするこの人は、宇治川の合戦の先陣争ひに出てきたあの人。
後の手孕村にやつてくるこの人は白髪をわざわざ黒く染めてゐたあの人。
鬼界が島に一人残るのは後に有王丸が迎へにやつてくる人。

みんなみんな、知つてる人だ。

んでちよいとばかり「平家蟹」の玉蟲を気取つてみたりするのだつた。

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