十八代目
一時は歌舞伎座を建て直し落成にあはせて襲名披露公演を、なんてな話もあつた。
うーん、ちやんと席を確保できるかなあ。心配。
中村屋はいい役者である。
いい役者なんだが、時々はぢけ過ぎてしまつていけない。
こちらがついていけなくなつてしまふのである。
まあそれはやつがれだけの問題かもしれない。周囲のお客さまはみなもりあがつてゐるからだ。
だが、観客なんぞといふのはね、ただ転ぶだけで笑ふものなのだよ。
そんなんでいい気になつてほしくない。
僭越かもしれないがさう思ふ。
なんで中村屋のことを「いい役者」といふかといふと、中村屋の口から出てくることばをとてもなつかしいもののやうに感じるからだ。
あれは子供のころ、まはりの人々が喋つてゐたことばだ。
まつたくそのとほりではないかもしれないし、ただの勘違ひかもしれない。
しかし上野駅にそを聞きに行つた人々のやうに、やつがれは中村屋を見に行くのである。
ところで中村屋つて時々エリック・アイドルに似てゐる時がありませんか?
ないか……。
Comments