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Saturday, 20 November 2004

ある時気がつくいい役者

もうせん播磨屋が好きだつた。

好きな役者は何人もゐて、かつて「好きな役者の話をしやう」といふエントリでは大和屋坂東三津五郎のことを書いた。
大和屋もかなり好きである。
かつて毎年八月歌舞伎で丸本物の初役を勤めてゐたことがあつたが、毎回初日に見に行つて、もう一度楽日近くに見に行くほどだつた。
だが、当時はそんなに好きだと思つてゐなかつたやうに思ふ。かういふことは、後になつて気がつくのかもしれない。
たとへば当時は「八月ぢやなかつたら毎回初日になんか見にいけないよなあ」と思つてゐた。八月だと「夏休み」といふ口実が使へる。だから見に行つてゐるのだ、くらゐに考へてゐた。

播磨屋中村吉右衛門も、かなり以前から好きだつた。
はじめて播磨屋を知つたのはTVドラマ「武蔵坊弁慶」で、これががいたく気に入つてゐた。主題曲もよかつた(芥川也寸志)。再放送が何度かあつたが、これを見た目には昨今の大河ドラマなんぞ見られた代物ぢやあない。それくらゐおもしろかつた。

一年間芝居からはなれて、去年の九月にまた見に行くやうになつた時、歌舞伎座で播磨屋の河内山がかかつてゐた。復帰最初の芝居には完璧すぎるほど、播磨屋の宗俊はすばらしかつた。

最近、見に行く芝居に播磨屋が出てくると、いつしかにこにこしてゐる自分に気がつくことがある。

ああ、ヲレ、播磨屋が好きなんだ。

「なんか、
 播磨屋を見ていかう、
 これからのぼくは」

そんな気持ちである。

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