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Monday, 02 August 2004

Elegance 鑑賞その弐

これ、最高っっ。

といふわけで「踊るニュウヨーク」である。
「恋愛準決勝戦」がそれほどの内容でもなかつたので期待しないで見たからかもしれないが、「踊るニュウヨーク」はよかつた。
やはりあれかなあ、仕事仲間で友人で、さういふ相手と仕事と恋を天秤にかけて(いや、かけはしないんだが……。まあことばのあやといふことで)、といふあたりがいいのかなあ。
あるいは「踊る……」の女主人公の方が「恋愛……」のそれよりも好みだつた、といふだけかもしれない。
エレノア・パウエル演じるクレアの勝気なところがとてもいい。

それにとにかく踊りだよ、踊り。
いや~、いやしくもタップダンスをやらうといふ向きにはぜひぜひこれを見ていただきたい。
これを見ずしてタップなんぞやるな、と云ひたいところをぐつとこらへる。
特に「ザッツ・エンタテインメント」にも出てくる Begin the Beguine は圧巻。何度見てもため息ものである。星空とそれを映した中南米の海。黒い画面にぽつぽつと白い点の浮かぶ中、白い衣装(多分、な)をまとつたアステアとパウエルが踊る踊る踊る。途中、音楽が途切れて二人が刻むタップの音だけになる場面があるが、「音楽が途切れる」といふのは後で人に聞いて知つたことで、見てゐる時はまつたく気がつかなかつた。それくらゐ入り込んでしまふ。
ほかにもフレッド・アステアがピアノを弾きつつ歌つて踊る場面も、冒頭でアステアとジョージ・マーフィが歌ひ踊る場面も、とにかくすべての踊り場面から目をはなせない。

ところでこれを見てゐて思ひ出したまんががある。
坂田靖子の「バジル氏の優雅な生活」だ。
このまんがは連作短編といつた趣の作品で、舞台は前々世紀末ヴィクトリア朝のイギリスである。主人公バジル氏は若い貴族で独身。飄々とした人物である。
数ある話の中で、一つ、とある貴族の三角関係を描いたものがある。
ある若い貴族が婚約者の女性につらくあたる。別に身分違ひだとか親が勝手に選んだ相手だから不満があるとかいふわけではない。女性の方も特に婚約相手を嫌つてゐるわけではない。これから結婚する相手なのだし、うまくやつていきたいと思つてゐる。
つれなくされる女性を慰めるのは貴族の友人。こちらも貴族である。
実は、はじめて婚約者同士が会ふその時に、ひよんなことからこの友人が先に女性に会つてしまつた。この時女性はこの友人を自分の婚約者と勘違ひし、その上好意まで抱いてしまふ。勘違ひされた友人の方も女性のことを憎からず思つてゐる。
それをすべて理解してゐるのが傍から見てゐる若い貴族といふわけだ。彼は友人とそして本来は自分の婚約相手であるはずの女性とのためにみづから身を引く。それも女性にひどい仕打ちをする、といふ方法で。

物語の最後で、この貴族はバジル氏にこんなことを云ふ。
「時々思ふんだ。アーサー王はランスロットとグィネヴィア王妃のことを許してやるべきだつたんぢやないかなつて。さうすればアーサー王は友人と恋人と両方を失ふことはなかつたのに」
自分ひとりが嫌われ者になつてゐれば、といふやうなことも云つてゐたやうな気がするが、このあたり記憶が定かではない。

このまんがでもこの映画でも、身を引く人にはちやんと理解者がゐるけれど、実際はなかなかさうはいかない。
切ないねえ。

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