記憶の引鉄
日曜日の徒然に Web を徘徊してゐたところ、懐かしいものに出会つた。
「クロノトリガー」である。
幼い頃、みづからにきつく課してゐたことがある。
それは「ファミリーコンピュータを入手しないこと」であつた。
若かりし日のドクター中松が女色を絶つてゐたのと同じ理由で、やつがれはファミリーコンピュータを絶つてゐた。
「絶つ」といふと、チトちがふかもしれない。ずつと遊んでゐたものをやめたわけではなく、発売当初から「これに手を出してはいけない」と、本能的に悟つてゐたからである。
いづれにしても学校を出るまでは、友人宅で一度二度あそばせてもらつたのを別にして、ファミリーコンピュータもスーパーファミコンも手に入れることはなかつた。
おのれの性格を考へて、ゲームなんぞやつたらほかのことがなにも手につかなくなることをわかつてゐたからである。
そんなわけで、同世代の人間が知つてゐるゲームをやつがれは知らない。
しかし、ファミリーコンピュータもスーパーファミコンもその役割を終へたと思はれてもなほ入手することが可能だつたので、遊べたものもある。
はじめての RPG は Mother 2 だつた。
これについてはまたの機会に。
その後、たまたまデパートで安売りしてゐた「ファイナル・ファンタジーV」や、「ロマンシングサガ2」などまだ店頭にあるを幸ひに、いくつか遊んでみたものである。
その中に「クロノトリガー」があつた。
ものごとを極めるといふ考へがまつたく欠落してゐるやつがれにしてはやりこんだゲームである。
当時鳥山明には特に思ひ入れなく、スクウェアについても同様で、ただなんとなく「おもしろさうだつたから」入手したゲームだつた。
いつたいこのゲームに何時間何十時間費やしただらうか。
一度に行動可能な人数は三名までなのだが、二人または三人の技を合はせる「連携」なる仕組みがあつて、これが楽しかつた、とか。
とある登場人物の HP を最大にあげると特殊な技が出るのだ、とか。
それでなくてもマルチエンディング(といつていいものやら)なのだ、とか。
一度クリアしたらそのままの装備・レヴェルで一から遊べる、とか。
とにかくバグを発見してしまふほど遊んだ。
といふ話を学生時代の友人にしたら、
「んー、でも鳥山明の悪役つて品がなくて好かん」
とか云はれてしまつた。
んー、なるほど。今までそんなこと考へたことなかつたけど(といふか、その時点ではそれほど鳥山明の絵を知らなかつた。実は)、確かにクロウリー様とか、見るにたへなかつたなー、などと思つたりした。
思つたりしたけど、でもまあ悪役を見てゲームやつてるわけぢやないしなー。
えうは、「時間を隔てた関係」といふのが異様に心の琴線に触れたのだ、と、今ではさう思つてゐる。
当 blog 最初のエントリにも書いたが、やつがれ、いたくこの「時間を隔てた関係」に弱い。
空間はなんとかなつても時間は如何ともし難いものがある。
その証拠に「遠距離恋愛」といふことばはあるが、「遠時間恋愛」といふことばはない。
とはいふものの、
「ルッカが水玉螢之丞つぽくてよかつた」
とか
「ルッカとロボの関係がいい」
とか
「カエル好き」
とか
「魔王大好き」
とか
結局登場人物によろめいた点も否めない。
つてーかそのもの。
チト冷静になつて。
つまりは、それまでほとんどゲームをしたことがなかつたため、新鮮に遊べた、といふのが一番大きな理由なのではないか、と。
身も蓋もありませんな。
しかし、「ファイナルファンタジーV」は好きになれなかつたことを考へるとなあ。やはりこれは作品の勝利だらうか。
ちなみに「FFV」がダメだつた理由は、
- 宿に泊まつたばかりなのに宿の人に話し掛けると「お泊りですか?」と聞かれる
- 美男が実は「男装の麗人」だつた
- 最後はハーレムだ
の三点だらうか。
特に2には心底がつかりした。
これが逆だつたらまだよかつたのだ。すなはち「美人が実は女装の男だつた」。
わかつてゐる、当時は特にゲームプレイヤは男性と決まつてゐて、そんなところに「女装の男」なんてな登場人物を出したらどういふことになるか想像はつく。まだまだ「萌える」女性層を開拓するにいたつてゐなかつたのだらう。だけど「モンティ・パイソン」ノリで、とか。ムリか。
とまれ、「クロノトリガー」の魅力の一つに登場人物があることは確かである。
……ただしマールだけはいただけなかつた、といふところがいつまでたつてもやつがれよのう。
でもマール、人気あるよね。なぜなぜどーして。納得がいかん。
……そんなんでさらに徘徊してゐたら MIDI なんぞを聞いてしまつて。
聞くだにいろいろ蘇るのはなぜだらう。
特に中世。そんなに長くゐたらうか。
……PlayStation とか買つてたらどうしやう。今更。
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