タティングレースのモチーフ with SCMR
といふわけでこれが「さりげなくピッコロ大魔王・カラー」のタティングレースのモチーフ。
ものは Shuttle Brothers の _Tatting the GR-8 Self-Closing Mock Ring_ に載つてゐる Four Point Motif with SCMR である。
外周のリングにリングを重ねたやうなデザインがとてもかわいい。7 x 7 cm くらゐの小さなものだが、結構存在感あり。
色合ひだが、これはまづ緑色の方が気に入つて購入を決めたものである。写真だとうまく出てゐないが、うつくしい光沢のある淡い抹茶色といつた趣きの色だ。紫の方は淡い藤色で、こちらも緑色と同様見事な光沢がある。紫色の方はぼんやりとした感じの色であることは否めない。購入時はそれがチト心配だつた。緑色も糸巻きの状態でみれば抹茶色だが、おそらくタティングレースに使用したらもつと薄い色合ひになることは必至だ。紫色はもつと薄くなるだらう。さうした場合、なんだかぼやけた印象の作品になりやしないか。
だが、あはせてみたらこんな感じである。悪くない。隣り合つたリングが薄い色合ひにぴつたりである。
この後、これと同じものをも一つ作り、それから緑色と紫色を入れ替へたものを二つ作つてつなげる予定。
まあ「予定は未定であつて決定ではない」わけだが……。
ちなみに使用糸は緑の方がカナガワ株式会社のオリヅル絹穴糸 16号色番 111。紫の方は同じ糸の色番 108。
_Tatting the GR-8 Self-Closign Mock Ring_ については以前もちらつと書いたが、自費出版といつた趣きの全篇白黒の本である。おそらくはコピーではないかと思はれる。
だからといつてこの本の魅力が失はれるといふことはない。
前回も書いたとほり、Self-Closing Mock Ring、略して SCMR といふ技法を用ゐた作品ばかり掲載されてゐる。この Four Point Motif with SCMR も名前にあるとほり、リングの上にリングを重ねるのは SCMR といふ技法で行つてゐる。
さらに、この本で特徴的なのは、本自体は白黒であるにもかかはらず、多色を使つて作るやう書いてあることだ。
SCMRはシャトルを二つ使ふものが多い。それぞれのタティングシャトルにちがふ色を巻いて作るやう instruction に書いてある。たとへばこのモチーフも二色使ふやう指定されてゐるし、ものによつては「brown and orange」とか「red, white and blue」などと色が指定してあるものもある。
本をよく読むと、Shuttle Brothers こと Messrs Gary and Randy Houtz は白や生成りの糸でタティングレースを作ることは滅多にないと書いてある。依頼されて作つたことがあるが、それだけだといふ。
これまで白や生成りの単色でタティングレースを作ることが多かつた身にはかなり新鮮である。
しかし、白や生成りしか使はないのにはそれなりに理由があつたりする。
といふのも、本邦のレース糸の色糸は色褪せしやすい、といふ話を聞いたことがあるからだ。
DMC の色糸などはそんなことはないらしい。その他の糸については知らない。
だが。
考へてみれば、色褪せするほど使つてもらへるなんて、いいぢやあないか。
といふわけで、色糸に挑戦することにしたわけだ。
しかし。
いざ選ぶ段になると、うーん、どうもかう、自分が「これっっ」と思ふやうな色がないのである。
まあそんなものだらうなあ。
色を楽しむとすれば、刺繍糸の5番や8番あたりを使ふのがいいのかもしれない。さうすれば色はよりどりみどりだ。
だが、刺繍糸の5番8番はチト糸が太すぎる。のみならず、DMC の5番8番は糸の撚りに若干不満が残る。
といふわけで。
今回は絹穴糸を選んだ。
絹穴糸とは、基本的にはボタン付けやボタン穴かがりに使用する糸、とある。
# Web で検索をかけたところ、手芸以外では模型(発火用導線に使ふらしい)や
# ダブルリード楽器のリード作りにも使ふらしい。ダブルリード楽器つて?
# オーボエやファゴットです。基本的には。
実はタティングレースをはじめるまで「絹穴糸」なる糸が存在することを知らなかつた。
タティングレースにビーズをあはせる際、よく用ゐられる。ビーズを使ふと大抵アイロンをあてられなくなる。綿の糸ではアイロンをあてないとしはしはになつてしまふことが多い。実はやつがれもそれで一度失敗してゐる。
どういふ時にダメなのか、といふと……よくわからないが、どうも糸に対してビーズが多すぎたり重すぎたり大きすぎたりした時がダメらしい。
かういふ場合、絹穴糸を使へばいいらしいのだ。といふか、いい。
かくして、ビーズタティングをする時はもつぱら絹穴糸を使ふ。
だが考へてみれば、別にビーズを使ふ時だけぢやなくて普通に使つてもいいはずだ。
といふわけで、今回の糸選びと相成る。
絹穴糸には製造会社にもよるが百色前後はあるやうなので、色で遊ぶもよし、である。
それにしても「色で遊ぶ」はセンスのないものにはむづかしい。
そんなわけで「さりげなくピッコロ・カラー」になつてしまつた、といふのが今回のオチでゲス。
まあピッコロの紫つて茄子紺だよね、といふ話もあるがな。
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