人間の証明
「四日間の奇跡」読了。
一読して思つたこと。
この作者は、芝居やお浄瑠璃をまつたく見ないし浪曲も聞かない人間なのではないか、といふこと。
あるいは、反対にものすごく芝居やお浄瑠璃、浪曲の類が好きな人物かもしれない、といふこと。
昨今書店に平積みにされてゐることが多いが、うーん、そんなにいい話かなあ。
この手の話なら「仮名手本忠臣蔵」の九段目の戸無瀬と小浪や「国性爺合戦」の渚の方と錦祥女、逆パターンの「伽羅先代萩」は御殿の場や「恋女房染分手綱」は「重の井の子別れ」なんかの方がずつと泣けるしいい話な気がするんだが……。
え、さういふ人間は読んではいけない?
さうなのかもしれない。
自分の家族であれば犬畜生(と書くと森茉莉さんに怒られてしまふかな)でも大事にする、人間であれば血のつながりのない相手をこそ大切にするもの。
といふのが、戸無瀬や渚の方、錦祥女の行動の基本である。
それは、きれいごとなのかもしれない。
でもないよりまし。
そんな気がする。
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