チェルニーも子守唄を歌はない
多分な。
といふわけで、運指練習のほかにやつがれが嫌いだつたのが「チェルニー」である。
30番とか50番とか100番とかあるあれ。ベートーヴェン大先生の弟子・チェルニーのピアノ曲だ。
なにがいやつて……なにがいやだつたんだらうねえ(^_^;)。今となつてはよくわからないが、運指練習はやつていつてもチェルニーは練習していかない、なんてなこともあつたくらゐである。よほど嫌いだつたにちがひない。
おそらく弾いてゐて楽しくなかつたんだらうなあ。
あ、教則本だからか。なるほどね。
しかし、ぢやあチェルニーがつまらない人間だつたのか、といふと……それはよくわからない。
少なくともピアニストとしてはベートーヴェン先生より技術的には勝つてゐた、といふ話もある。
でもベートーヴェンとチェルニーつて云つたらやつぱりあれでせう?
森雅裕の「モーツァルトは子守唄を歌はない」。
音羽に見殺しにされた(?)作家の江戸川乱歩賞受賞作品である。
続編に「ベートーヴェンな憂鬱症」といふのもあつて、これは魔夜峰央が表紙絵を描いてゐた。表紙絵だけかと思つたら本には四コママンガまで載つてゐた。その縁だらうか、「モーツァルトは……」の講談社文庫版の表紙も魔夜峰央が手がけてゐたやうに記憶してゐる。
以前も書いたが、「モーツァルトは子守唄を歌はない」は、初めてそれと意識して購入した江戸川乱歩賞受賞作である。しかも発売直後に購入したのはこれ一冊であらう。何かと思ひ出深い本だ。「今は何もかも懐かしい……(納谷悟朗の声で読むこと)」。
もし、ピアノの稽古に通つてゐるころにこの本に出会つてゐたら、もう少しチェルニーともなかよくできたのではないか。
そんな気がする秋のゆふぐれ。
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