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Monday, 01 December 2025

11月の読書メーター

11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1136
ナイス数:36

李陵李陵感想
李陵も李徴も隴西の人なんだよなあ、と思いながら読む。『大人読み『山月記』』に、武帝は怒れる皇帝というイメージがあるが、それは唐になって隴西の李氏が天下を握ってからで、李広や李陵の仕打ちへの仕返し、というようなことが書いてあった。そういえばこの小説にも、いまの人はひどいと思うかもしれないけれど当時はこれが普通だった、というような記述があってちょっと唸る。
読了日:11月01日 著者:中島 敦
山月記山月記感想
自分が知るかぎりの話だが中島敦作品の中で一番文章がしまっている感じがする。読んでいて心地よい。こういう文体で書けたらなあと、いま読んでも思う。
読了日:11月01日 著者:中島 敦
Katabasis: 2025’s INSTANT No.1 SUNDAY TIMES best-seller from the author of YELLOWFACE (English Edition)Katabasis: 2025’s INSTANT No.1 SUNDAY TIMES best-seller from the author of YELLOWFACE (English Edition)感想
ケンブリッジ大で魔術を専攻し博士号を狙う主人公が、死んだ指導教官を蘇らせようと地獄へ向かう。単身向かうはずがライヴァルもまた主人公と同じ目的でともに地獄に行く。この二人の関係や地獄での試練がおもしろいことはもちろん、大学での研究生活や、作者はこれが書きたかったのではないだろうかと思われる力関係(ハラスメントとかね)も興味深い。チョークで五芒星を描いて魔術を使ったり、パラドックスを用いて苦境を脱したり、オルフェウスやダンテその他の地獄の話を参考にしていたり。地獄の織姫は怖いし、閻魔大王がちょっと素敵だ。
読了日:11月06日 著者:R.F. Kuang
AIは短歌をどう詠むか (講談社現代新書 2748)AIは短歌をどう詠むか (講談社現代新書 2748)感想
では自分は短歌をどう作っているのか、と考える。この本に書かれている生成AIと大して差はないのではないか。あるとしたら、これも本にある通り、作りたいと思って作っているかどうかであるのかもしれない。あと「こんな短歌を作りたい」という願望があるかないか、か。自作の歌について類想があるかどうかとか、似たような先達の作品がないかどうかを調べられるようになるといいなとは思いつつ、それはいろいろクリアしなければならない問題があるようだ。
読了日:11月16日 著者:浦川 通
現代短歌パスポート2 恐竜の不在号現代短歌パスポート2 恐竜の不在号感想
詩人の作った詩と生成AIの作った詩とを人に読んでもらうと生成AIの作った詩の方が詩っぽいと思われるというような研究結果をどこかで見かけた(間違ってたらごめん)。読み手が詩だと思っているものと現代詩とに乖離があるんだろう。「現代」とつくとそういう感じになるのかもしれない。NHK全国短歌大会の番組で「歌の中にスペースはできれば入れない方がいい」と云っていたけれど、大会応募作もこの本の中の作品もそんなこと全然気にしていない感じがする。必要があるから入れる。恐竜の不在の短歌もそうした作品の一つだ。
読了日:11月17日 著者:岡野大嗣,川野芽生,大森静佳,小島なお,谷川由里子,寺井奈緒美,我妻俊樹,北山あさひ,伊舎堂仁,安田茜
命運―近藤芳美歌集命運―近藤芳美歌集感想
先の戦争の記憶を引きずり、韓国へ招待されては敵国の人間であることを意識しつつ詩でつながったことを詠んだ歌や、哈爾浜や瀋陽、731部隊の跡地などを訪れた際の歌など、全体的にかたく重たい歌、また破調の歌が多い。戦争に行かなかった人の方が戦争について書く、とは柴田錬三郎のことばだが、本人が書く気にならなかっただけなのではという気もしつつ、行かなかったから思うこともたくさんあるのだろうと思った。図書館で借りた本で読み込めなかったのが残念だが、読み込むのにも気力が必要な歌集だと思う。
読了日:11月19日 著者:
シン・短歌入門 (NHK短歌)シン・短歌入門 (NHK短歌)感想
FAQ集のようになっていて、それも初級・中級・上級とわかれている点がわかりやすいように思う。プラス短歌に関するエッセイと短歌の穴空きクイズに公開前に確認すること10点という親切設計。FAQの答えの方も短歌の例が豊富でいい。作者自身の短歌が念力家族だったりウルトラ怪獣を題材にしたものが多かったりするのも好感持てる、個人的に。
読了日:11月29日 著者:笹 公人

読書メーター

Monday, 03 November 2025

10月の読書メーター

10月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:1378
ナイス数:31

方丈記方丈記感想
いま主に米国で「Zuihitsu」の人気が高くなっていて、『方丈記』が特に人気があるということをPoetry Interface主催の「随筆邂逅」というオンラインイヴェントを視聴して知った。それで読み返してみた。Zuihitsuとは詩なのだそうで、『方丈記』は詩ではないもののどことなく詩情が感じられるのは、やはり文章の力なのではないかと思う。最後が和歌で閉じられているところに詩を感じることもあるのかもしれない。三大随筆の一つながら、ほかの二つとは全然趣が違うのも人気の所以なのかなあ、などと思いつつ読んだ。
読了日:10月01日 著者:鴨 長明
近現代俳句 (河出文庫)近現代俳句 (河出文庫)感想
句集や歌集にはとても素敵な装丁の本が多い。そういう本も買ってしまうし、こういう文庫本も買ってしまう。文庫本は持ち歩きやすいし、ふらっと出かけるときに詩集というのはとてもいいものだと思っている。この本も旅の友としていいなと思いながら自宅で読んだ。なかなか句集にお目にかかれない俳人の句もあって、いつか句集に巡り会えたらと願わずにはいられない。口語訳と解説がついていて、「そう鑑賞するのかー」と大変参考になる。著者の句集も読みたい。
読了日:10月02日 著者:
通言総籬・仕懸文庫 (河出文庫 い 18-5)通言総籬・仕懸文庫 (河出文庫 い 18-5)感想
右脳の働き・左脳の働きというものがあると仮定する。物語自体を読むときは右脳が働くが、注釈を読むときは左脳が働いてしまう。そこがなんともはがゆい。くり返し読めば解消されるだろうか。
読了日:10月11日 著者:
波多野爽波の百句波多野爽波の百句感想
ネットの検索結果で出会った爽波の句の数々に惹かれて本書を読んだ。季語と句全体との距離感がよくわからないので参考になったと思う。「多作多捨」は創作についてはだいたいそうなのかな。とはいえ、職場では「多作」はむつかしいもののなんとかなるかもしれないけれど、「多捨」は無理な気がする。
読了日:10月12日 著者:山口昭男
句集 百題稽古句集 百題稽古感想
平安時代末期から鎌倉時代初期の和歌の百首題を三つ用いて題詠した句を編んだもの。ひとつひとつの句に題がついている。句集に雑というのがあるのがおもしろい。ただ、いまの自分にはかなりむつかしかったというのが正直なところ。栞に書かれている内容を踏まえて読み返したい。じっくり読むつもりだったが、この句集の評が読みたくてちょっと焦って読んでしまった。
読了日:10月13日 著者:高山れおな
西東三鬼句集 (芸林21世紀文庫)西東三鬼句集 (芸林21世紀文庫)感想
書店でぱらぱら見たらガツンと来て買った。なんでガツンときたのか、情けないことに読んでもよくわからなかったけれど、解説を見て「諷詠句ではないからかな?」と思った。
全句集も手に入りそうなのが嬉しいが、まずはこの本をよく読むのが先決かな。
読了日:10月17日 著者:西東 三鬼
岡井隆の百首 (百首シリーズ)岡井隆の百首 (百首シリーズ)感想
その時に応じていろんなものを吸収していき最終的にこういう歌を作るようになった、ということが途中経過も含めてわかりやすく編まれている。そして、その途中経過も含めてもっと読みたいと思ってしまう。岡井隆の歌集でも、なかなかそうはいかない現実。探し方が悪い? それはあるかもしれない。
読了日:10月22日 著者:大辻隆弘
大人読み『山月記』大人読み『山月記』感想
『山月記』『名人伝』『弟子』『李陵』の元ネタと推定される中国古典作品の該当部分を解説しつつ、中島敦が参考にした点・創作した点などを解説した本。上記四作品と並行して読むといいと思う。野村萬斎による『山月記』「名人伝』の舞台についてや『山月記』をマンガ化した西村悠里へのインタヴューも掲載されている。だったら川本喜八郎の「不射之射」も取り上げて欲しかったなあ。卒業論文で中島敦を取り上げようという女子学生の「『李陵』はやっぱり恋愛小説なんですよね」という発言がおもしろい。
読了日:10月27日 著者:増子 和男
名人伝名人伝感想
この小説を原作にした川本喜八郎の人形アニメーションがある。なかなか見る機会がないのだが、奥さんの機の下に入る場面とか、紀昌対飛衛の映画『用心棒』を思わせるような場面は思い出しながら読んだ。『大人読み『山月記』』に出てきたので読み返してみた。
読了日:10月27日 著者:中島 敦
文字禍文字禍感想
笑い話だよね、と思っている。もちろん笑い話の裏もある。
読了日:10月27日 著者:中島 敦
弟子弟子感想
過去の感想にも書いてあるとおり、わかりあえないことをわかりあう関係もありうる、という話だと思う。人は(主語デカい)、共感ができないものは受け付けなかったりするけれど、共感できないけれどもおもしろい作品というのはいくらでもあるし、共感できなくてもつきあっていける他人というのも存在するのだろう。『大人読み『山月記』』に出てきたので読み返した。
読了日:10月31日 著者:中島 敦

読書メーター

Wednesday, 01 October 2025

9月の読書メーター

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1271
ナイス数:33

塚本邦雄の百首 (百首シリーズ)塚本邦雄の百首 (百首シリーズ)感想
最近の読者の塚本邦雄(作品、だろう)の捉え方はどうも何かがちがって、それは全集を読んでいるからだろうという話に興味を惹かれた。自分もそのひとりだからだ。塚本作品に触れようと全集を読むが、どうものっぺりとしか理解できていない気がする。例えるなら先輩から『ドラゴンボール』を勧められて一気読みし、何がいいのかわからないと云っている若い人のようなものか。連載中だったら毎週、また毎巻次の展開を思い浮かべながら読むのだろうが、一気読みではそうはいかない。塚本邦雄作品もできれば歌集の形で触れられたら、と思った。

読了日:09月07日 著者:林 和清
すごい科学論文 (新潮新書 1084)すごい科学論文 (新潮新書 1084)感想
ものごとの捉え方がとてもポジティヴな人だと思った。AIの進化とか、ちょっと不安を覚えるんじゃないかと思うけど、この本ではそうでもない。なるほど、こういう考え方もあるか、と参考になった。雑誌『俳句四季』で堀田季何が紹介していたので読んでみた。堀田季何は俳句と科学との類似点としてものごとをつぶさに観察し新たな認識/発見を得ることと書いている。この意見も参考にしながら読んだ。いまは雑誌を自由に読める環境にはいないが、『Nature』誌のメールなど、読めるものは読んでみようと思う。
読了日:09月13日 著者:池谷 裕二
決定版 名所で名句 (角川ソフィア文庫)決定版 名所で名句 (角川ソフィア文庫)感想
落語の「道灌」じゃないけれど、「ああ、自分は先人の句を知らない」と思い読み返す。名所の紹介の方に紙幅が割かれているが、名句の鑑賞の仕方も改めて学びなおす。俳句の鑑賞は人それぞれと思うけれど、闇雲に読んでもわからないこともある。この本からは「あ音が多くてどう」とか「う音が多くてこう」という鑑賞の仕方を学んだ。
読了日:09月14日 著者:鷹羽 狩行
人類の午後 (堀田季何第四詩歌集)人類の午後 (堀田季何第四詩歌集)感想
前奏・I・II・Ⅲ・後奏の五章立てで、前奏を読んだところでしばらく続きを読めずにいた。冒頭の「水晶の夜映冩機は碎けたか」と前奏最後の「自爆せし直前仔猫撫でてゐし」が強烈だった。多分自爆するテロリストというのは特別な存在ではない。仔猫がいたらそっと手を伸ばして撫でる、そして仔猫も撫でさせる、そんなどこにでもいるような存在なのだろう。これは読んだ瞬間に情景が見えた例で、高度に圧縮されていて解凍しつつ味わってゆく句もたくさんある。跋を読んで再読したい気分になり読み返した。楽しいばかりではないが好きな句集だ。
読了日:09月20日 著者:堀田 季何
日本語再定義日本語再定義感想
読んでいて「何を云っているのか?」と理解できないことしばしばだったが、「言霊師」を自認する文章を見て「そういうことなのかも?」と思った。といって、「言霊師」とは何かもよくはわからないのだが、「言葉本来の意味を理解し使用する人」そしてそれを以て「世界を変えようとするもの」だろうか。どうやら今は「言霊師」を名乗る人が大勢いるようだが、著者のいう「言霊師」はちょっと違うように思う。「言葉使い師」はどうだったかな。読み返してみるか。
読了日:09月29日 著者:マライ・メントライン
言葉使い師言葉使い師感想
マライ・メントラインのいう「言霊師」が言葉の本質を突いて言葉を使う人のことを指すのだとしたら(仮定)、「言葉使い師」は言葉自体が自由に動けるよう言葉を使う人、だろうか。久しぶりに読み返したところ、どの作品もおもしろく読めた。神林長平作品の登場人物のセリフはちょっと気取っていて気障なところがたまらなく好きだ。どことなく萩尾望都のSF作品にあるような設定がある気がする。
読了日:09月30日 著者:神林長平

読書メーター

Monday, 01 September 2025

8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1392
ナイス数:48

「書くこと」の哲学 ことばの再履修 (講談社現代新書 2777)「書くこと」の哲学 ことばの再履修 (講談社現代新書 2777)感想
読み終わって、書ける気はしない。ただ、内容は興味を惹かれるものが多かった。人称の話とかね。一人称と二人称については「そうそう」と思ったし、三人称については「なるほどなあ」という感じ。作者=作中の人物と思い込む読者については確か山本夏彦だったかが(違ったかも)こどものころ教師に「三木露風に姉はいたか?」と訊かれて「知らない」と答えると「姉やは十五で嫁に行きという歌詞があるじゃないか」と云われたという話をしていたから、そういう人が増えたわけではないのでは。最近は個人の意見を発信する 機会が増えたからでは?
読了日:08月02日 著者:佐々木 敦
物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために (講談社現代新書 2782)物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために (講談社現代新書 2782)感想
米光一成の『ゲーム作家の全思考』を読んだ時に物語にすることについて注意するようちょろっと書かれた部分があり、気になってこの本を読んだ。読んで思ったのは、物語(化)というよりは、人間の「わかりたい」「たったひとつ真実の答えを知りたい」といった傾向に問題があるのではないかということだ。人は何が本当で何が嘘で何が答えかわからない宙ぶらりんの状態をよしとしない。陰謀論に飛びつく理由も同じだ。世の中は複雑でたったひとつの真実などはなく、でもどうすればいいのか考え続けられるような強さが必要なんだろうけど。難しい。
読了日:08月11日 著者:難波 優輝
ドラえもん短歌 (小学館文庫 ま 17-1)ドラえもん短歌 (小学館文庫 ま 17-1)感想
枡野浩一選ということもあって、読んですっと入ってくる短歌が並んでいる。ブログで短歌を募って、添削などもしていたようで、読み返して「この歌もああした推敲フェイズを経てきたのかなあ」と思ったりもする。選者が違ったら、とか、アンパンマンだったらどうだろう、とか考えたり。『ドラえもん』というとどうしても忘れられないエピソードがあるのだが、そのエピソードを扱った短歌はこの中にはない。自分で作るしか?
読了日:08月12日 著者:
ピュタゴラスの旅ピュタゴラスの旅感想
ここのところ『鬼滅の刃』や『野田版 研辰の討たれ』を見て復讐について考えることが多く、「虐待者たち」もそんな視点から読んでしまう。でもそれはちょっと違うのかも。どこからが本当でどこからが夢(非現実)なのかわからない、そういうところを楽しむ短編なのかもしれないと読み終わって思っている。メタだったり、文明とは何かを考えさせられたり、読後感は充実している。あとがきに「易とは未来を占うものではなく現在直面している問題に対処するもの」という旨のことが書かれている。そういう話ももっと読みたかったなあ。
読了日:08月16日 著者:酒見 賢一
思考ツールとしてのタロット (こどものもうそうブックス)思考ツールとしてのタロット (こどものもうそうブックス)感想
酒見賢一の『ピュタゴラスの旅』のあとがきに「易とは未来を占うものではなく現在直面している問題に対処するもの」という旨のことが書かれていて、「まさにこの本で云ってることじゃん!」と思って読み返す。死神や悪魔、塔のカードが出たからといって悲観することなく、そこから読み取れる視点を持って日々過ごしたり、また一日をふりかえったりするというのはとてもおもしろい。タロットを使ってひとりでもちょっとしたブレインストーミングができる。むしろ他人がいない分ブレインストーミングとしてあらまほしき形になるのかもしれない。
読了日:08月16日 著者:米光一成
現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号 (現代短歌パスポート 1)現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号 (現代短歌パスポート 1)感想
去年Twitterで「ネット歌枕発掘プロジェクト」が開催されていた時、「歌づくりの参考に」と堀田季何が挙げてくれた本の中に「現代短歌パスポート」があった。その時は見つけられなかったが、やっと読むことができた。上記プロジェクトのおかげで一年間角川の『短歌』を読む機会があった。「現代」短歌を意識するのは年齢縛りがある時とか新人賞受賞作が掲載された時だった。こうして一冊の本にまとまっているのはありがたい。2以降も探して読みたいと思う。自分の感覚だと「現代短歌」は街、かな。それより前の短歌は和風な庭のイメージだ。
読了日:08月17日 著者:榊原紘,伊藤紺,千種創一,柴田葵,堂園昌彦,谷川電話,𠮷田恭大,菊竹胡乃美,宇都宮敦,初谷むい
死者の書死者の書感想
川本喜八郎の命日に飯田市川本喜八郎人形美術館で上映された『死者の書』を見て再読。映画で前面に出てくる執着は、原作ではそれほどでもないというイメージだったのだが、それは郎女にそういう印象がないからだろう。そう見えないだけで郎女の執着というのも相当のものだ。蓮の糸で織る、それもはじめての機織りだというのだから、並々ならぬ根性(という言葉は郎女には似合わないが)だ。映画の時も思ったけれど、家持は自身を「あきらめる人間」と任じている。でもたくさん歌を残したではないか、と思うのだった。
読了日:08月27日 著者:折口 信夫

読書メーター

Friday, 01 August 2025

7月の読書メーター

7月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1446
ナイス数:26

Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans (English Edition)Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans (English Edition)感想
チェスでカスパロフを負かすAIも、チェッカーは指せない。一からルールを覚える必要がある。人間だってそうかもしれないが、すでに持っているチェスのルールの知識をある程度応用する力がある。というのがこの本を読んで自分の理解したことだ。著者は『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を読んでダグラス・ホフスタッターに師事したのだとか。2019年に出版されたもので、ここで「AIにはできない」と書かれていることでも現在のChatGPTにならできることもあるようだ。ただ、ネット上にないことはわからないというのは変わらないだろう。
読了日:07月11日 著者:Melanie Mitchell
Ladies andLadies and感想
短歌でもかなり不思議な歌を作る平岡直子の不思議な川柳句集。帯にある「男性社会にチェックインするという手続きを踏まずに使える言葉の置き場がひとつある」というのが気になる。短歌はわざわざ男性社会にチェックインして作っているのか、とか。題名になっている部分のある句については一夫多妻制のようなことを云っているのかと思ったり。実際法的にはそうなっていないけれど、でも事実そんな感じでしょ、不思議だね、ということか。すぐに読めるけど解凍するのはむつかしい。そこが楽しい。
読了日:07月13日 著者:平岡直子
ゲーム作家の全思考ゲーム作家の全思考感想
小説家やマンガ家が歴史ものをかくと次の作品も同じような時代の話になったりすることがある。調査したことを活かせるからということも大きいとは思うが、きっと先の話をかいているときにアイディアが育ったのだろう。この本を読んでそう思った。ゲームを作らなくても企画を考えるような人には向いている本じゃないかな。この本にはゲームもたくさん紹介されていて、どれもおもしろそう。
読了日:07月20日 著者:米光一成
分解 (ちくま文庫)分解 (ちくま文庫)感想
表題作は途中で「えっと、どういうことかな?」と立ち止まることしばし。それがことのほか楽しい。エピクテトスのようになれたらと思いつつ、ピュタゴラスと弟子との関係に中島敦の「弟子」を思い出し、「童貞」は今読むと「これでいいのか……」と時折考え込んでしまう。その他いずれも読みごたえがあり、中短編集とは思えない満足感を得られた。ただし共感を得られるか否かで小説を評価する人にはお勧めしない。もっとたくさん酒見賢一の作品を読みたかったよ。
読了日:07月22日 著者:酒見賢一
「銀河を産んだように」などIIIIII歌集 (短歌研究文庫, 5<新お-1>)「銀河を産んだように」などIIIIII歌集 (短歌研究文庫, 5<新お-1>)感想
字足らずの歌や句には名作が少ないという。この歌集にはところどころ字足らず(だと思うんだけど)の歌が組み込まれていて、そこで立ち止まってしまう。読み返す。なにか違和感がある。でもつまらない歌だとは思わない。だからまた読み返す。この歌人の歌に限らず、字足らずの作品にはそういう効果があるのだけれど、作為は感じられないように思う。図書館で『人類のヴァイオリン』を借りて以来、ずっと手元に欲しいと思っていた。幸運だ。
読了日:07月25日 著者:大滝和子
リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)リリカル・アンドロイド (現代歌人シリーズ29)感想
以前から題名がとても気になっていた。読んでみると「リリカル」ではある気がするけれど「アンドロイド」はどこから? もしかしてアンドロイドが詠んだ歌が並んでいるのだろうか? そんなことを考えながら読んだ。他の方の感想にもあるとおり季節を意識した歌が多く、この歌が詠まれたころの夏はこうだったのかもしれないなどと考える。それくらいこの夏は暑い。
読了日:07月27日 著者:荻原裕幸

読書メーター

Wednesday, 02 July 2025

6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1296
ナイス数:45

みじかい髪も長い髪も炎みじかい髪も長い髪も炎感想
短歌は詩なのかと訊かれたらはいと答えたい。そんな気にさせる歌集。短歌とは詠み手が自身のことを書いたものと受け取られがちでそういう点では私小説に近いところがあるのだが、でもそれだけじゃないよね。正直云うと「なにを云っているのだ?」と首を傾げてしまう歌も多いが、そういう歌が(「も」かな)好きなのだった。
読了日:06月03日 著者:平岡直子
Norse Mythology (English Edition)Norse Mythology (English Edition)感想
時折「子ども向けだろうか」と思うくらい平易な語り口で読みやすい。北欧神話は未履修だったなと思い手に取ったところ、ことのはじまりからいくつかの逸話を経てラグナロクまで描かれていて読んで正解だった。
読了日:06月05日 著者:Neil Gaiman
映画夜話映画夜話感想
映画に関する本はいつももどかしい。「この映画は素晴らしい」「あの映画を見なさい」と書かれていても、どうにもしようがないからだ。この本で紹介されている映画を見られる日がくるとはちょっと思えないし。自分は監督とかよくわからなくて、特に好きな俳優がいるわけでもない。でも「あの場面の絵が好きだ」とか「音楽の入り方がなんともいえない」という感じで好きな映画というのはあって、そういう風に映画を語るのもあるなんだなと思った。
読了日:06月11日 著者:蓮實 重彦
えんぴつで万葉集 簡易版えんぴつで万葉集 簡易版感想
万葉集が苦手だ。これを克服するには書いてみるしかない。そう思って六十日間ほぼ毎日このテキストの文字をなぞり続けた。なぞっている間はほとんど効果を感じなかった。ところがその後角川ソフィア文庫の万葉集を読んでみたら、以前のような抵抗を感じないではないか。するする読める。この本のなぞり書きをやったことは無駄ではなかった。土地土地にちなんだ歌を紹介していて、それぞれその地域の地図がついているものの、歌に出てくる場所がどこなのかわかりづらいのはなんとかならないのかなあと思った。
読了日:06月16日 著者:大迫 閑歩
フラワーズ・カンフーフラワーズ・カンフー感想
著者は俳句の作り方といった俳句入門のようなものは読まないのだという。そういう人はこういう句を作るのかもしれないなあと思いながら読み返した。「出アバラヤ記」の詞書(なのだろう)と句との組み合わせがやはりおもしろい。
読了日:06月28日 著者:小津夜景
サラダ記念日 (河出文庫 227A BUNGEI Collection)サラダ記念日 (河出文庫 227A BUNGEI Collection)感想
長年読み切ることができずにいた本。なぜ最後まで読めなかったのかというと、おそらく恋愛というものの存在を疑うことがない歌ばかりだから、かなあ。短歌と恋との相性がいいことは認めるけれども。でも俵万智の歌にはいわゆる内在律のようなものがある。破調が少なくあっても不自然な感じが少ない。そこのところを跋で佐々木幸綱が書いている。
読了日:06月29日 著者:俵 万智

読書メーター

Sunday, 01 June 2025

5月の読書メーター

5月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1098
ナイス数:33

Ghosts (New York Trilogy)Ghosts (New York Trilogy)感想
例えば職場にいる時は自分が存在していることに疑問を抱かないが、何かの瞬間にひとりになった或いは自分はひとりだと感じたときに自分は本当に存在するのか定かではない、という感覚に似ているだろうか。物書きは幽霊だという。書くことは孤独な作業で、書き手は自身の人生を生きてはいない。そこにいてもいない幽霊のようなものだ、と。だいぶ前に翻訳で読んだけれど、色に関することばをどのように訳していたか気になる。blue flimとか。
読了日:05月01日 著者:Paul Auster
The Locked Room (New York Trilogy)The Locked Room (New York Trilogy)感想
どうやったらこの世から消えることができるのだろうか。ニューヨーク三部作を読んで思うのはそのことだ。この世から消えたい、とか、誰でもない人間になりたい、とか、そんなことを考えている人は思っている以上に多いのかもしれない。三部作のうちこれだけは初めて読む作品だった。翻訳も読んでみたい。
読了日:05月06日 著者:Paul Auster
世界はラテン語でできている (SB新書 641)世界はラテン語でできている (SB新書 641)感想
豆知識のオンパレード。謎解きのないなぞなぞ本のような感じ。巻末にお勧めの書籍や参考文献がたくさんあるので読んでみたい。幸い書店で入手できるものもありそうだし。
読了日:05月07日 著者:ラテン語さん
The Barnum Museum: Stories (English Edition)The Barnum Museum: Stories (English Edition)感想
短篇集ながらどれも中篇以上の作品を読んだような気分になる。ものの名前(名詞)がたくさん出てくるからだろうか。この点は古い本格推理小説にちょっと似ている気がする。推理小説では凶器を隠すためにそうすることが多いのだが、こちらは読者にしっかりとしたイメージを持ってもらうためにしている気がする。そうしておいて落とし穴の蓋を取り去る感じ。嫌いじゃない。他の作品も気になるな。
読了日:05月27日 著者:Steven Millhauser
現実入門: ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫 ほ 5-1)現実入門: ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫 ほ 5-1)感想
『短歌の友人』の中で穂村弘は歌人の短歌の読み方について「「生のかけがえのなさ」が、一首の中でどのように「かたちを変えて」存在しているかを把握する働きに他ならない。」と書いている。これを読んでからこと穂村弘の短歌はこういう視点で読むようにしているのだが、エッセイはどうなんだろう。この本はどこからどこまで本当で嘘なのかよくわからないが、やはりどこか「生のかけがえのなさ」を描いているように感じられる。
読了日:05月30日 著者:穂村 弘
語り手の事情語り手の事情感想
ヒトはなぜ性にまつわることを隠すのか。種の存続に必要なことだというのに。というのが、おそらく『後宮小説』の背後にもあって、この作品にもある。この作品の舞台がヴィクトリア朝の英国なのは、「性的なものなんてない」とでも云わんばかりに隠しおおせんとした時代・国だからだろう。だからだろうか、この本を読むとチラリズムといおうか隠すことこそ色気を生む元であり、そういう意欲を生む元なのではあるまいかと思えてくる。
読了日:05月30日 著者:酒見 賢一

読書メーター

Thursday, 01 May 2025

4月の読書メーター

4月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1577
ナイス数:96

歌よみに与ふる書歌よみに与ふる書感想
歌や句が説明的と評されることがあるので「そういやこの本にそんなことが書いてあったような」と思って読んでみたら、レヴェル高過ぎというか、これが理屈っぽいんだったら一体どうすればいいのと思うことしきり。とつくにの文学に負けまいという意気やよし、とは思うものの、「それってあなたの感想ですよね」と云いたい時もないわけではない。昔は特に文学的素養がなくても日記に三十一文字を書きつける人も多かったと聞くけれどこの説のおかげで絶えてしまったという話も聞くけど本当だとしたらそれは子規の本意ではなかったのではないかなあ。
読了日:04月06日 著者:正岡 子規
新版 徒然草 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)新版 徒然草 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)感想
なんだかものすごくおもしろくてつるつると読んでしまった。そういう時機だったんだろう。「口裂け女って昔からあったんだなあ」とか「平安時代の言葉遣いがよかったのに今は違う云い方をする」とぼやいている言葉が実は平安時代はくずした云い方だったのが正しい云い方に戻ってたりとか。ビジネス書を読むよりもこの本を読んだ方がいいのではと思う一方で、この本もさらに昔のいろんな本からの引用が多かったりして、そういう点でも世の中ってあんまり変わらないんだな。
読了日:04月08日 著者:兼好法師
暗い旅 (河出文庫 く 6-1)暗い旅 (河出文庫 く 6-1)感想
愛ってそんなに俗なものなのだろうか。裕福な家に生まれて人並はずれた(というほどでもないのかもしれないが)容姿と頭脳とに恵まれるといろいろめんどくさいのかもしれない。少女小説というのがどういうものかよくわからないけれど、この恋に恋するというか自分の理想の恋愛を求める感じがそうなのかな。と、文句を書きつつもおもしろく読んだ。この小説にも出てくるけれど、styleに趣があってつい読んでしまうのだ。
読了日:04月14日 著者:倉橋 由美子
Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of EvilEichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil感想
陳腐な悪とは例えば山本夏彦が書いていたとある百貨店の5階だかにある家電売場に冷蔵庫を運ぶ話かなと思っていた。百貨店のエレベータは客専用なので業者は使えない、だから冷蔵庫を背負って5階まで運んだ、それを百貨店の店員はただ見ていたという。でもこれではないらしい。そこで本書を読むことにした。参考文献はあるものの、どの記述がどの本から取られているのかわかりづらい。他の本にあたってみたい。最初に解説がありそれを読んだ結果、アレントは非ドイツ系ユダヤ人に対して偏見があったという偏見を持ったまま読んでしまった気がする。
読了日:04月18日 著者:Hannah Arendt
コンビニ人間 (文春文庫 む 16-1)コンビニ人間 (文春文庫 む 16-1)感想
昭和の企業戦士(という括りは乱暴だが)が定年退職して自宅にいるようになると似たような感じになったりするのかな。企業というところに過適応してしまって他の場所での振る舞い方がわからない。それは配偶者も同じで。主人公というよりは白羽のようになるのかも。「マニュアル人間」とは揶揄するときに使う言葉だけれど「でもみんな暗黙の了解として成り立っているマニュアル通りに生きてるんでしょ」という感じ。自分の思い通りに生きている人もいるのだろうけれど、そう誤解している人もいるんだろうなと思った。
読了日:04月22日 著者:村田 沙耶香
City of Glass (New York Trilogy, 1)City of Glass (New York Trilogy, 1)感想
sleuthということばの音の無味無臭さといおうか風のような感じといおうかそんなイメージで読み進む(“sleuth”は出てこなかったような気もするけれど)。クールなんだけどどことなく切ないのは、主人公のいどころのなさ、それをよしとする部分に起因するのかなあ。あとはニューヨークという街の印象かな。行ったことはないけれど、ここに描かれている街の印象。
読了日:04月27日 著者:Paul Auster

読書メーター

Thursday, 03 April 2025

3月の読書メーター

3月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1675
ナイス数:38

現代思想入門 (講談社現代新書 2653)現代思想入門 (講談社現代新書 2653)感想
哲学はどこから始めたらいいのか。古代ギリシャからはじめて順々に進むのがいいのか。そう思いつつこの本を読むと、実際のところそうなんだろうけれど、でもひとまず「現代」思想をわかりやすく説明していて唸る。
付録の「現代思想の読み方」は哲学以外の本にも使えそうな気がする。
著者の「欲望年表」はこういうところから来ているのか、と思うことしばし。紹介されている本を読む日がくるかどうかはわからないが。
読了日:03月01日 著者:千葉 雅也
The Art of Statistics: Learning from Data (Pelican Books) (English Edition)The Art of Statistics: Learning from Data (Pelican Books) (English Edition)感想
統計学もPPDACサイクルを回すという話に興味を覚えて読むことにした。Problem, Plan, Data, Analysis, Conclusion and Communicationの頭文字を取ったもので、最初に問題を定義・理解してからプランをたてるというあたり『イシューからはじめよ』の「イシュー」に近い感じかなと思った。長年患者を殺害していた医師の書いた死亡診断書の数からいつ頃その事実に気づけただろうかとか駐車場から発掘された頭蓋骨がリチャード三世である確率は、とか取り上げている例もおもしろい。
読了日:03月15日 著者:David Spiegelhalter
カモメの日の読書 漢詩と暮らすカモメの日の読書 漢詩と暮らす感想
再読。今回、食に関する描写がいいなあと思いつつ読んだ。また、著者には武道の心得があって、パリで痴漢に遭った際、相手が保険に入っているかどうか、怪我をしても医者に診てもらえないのではないかと考えるという話にも感じ入った。痴漢はボクシングを嗜んでたようで、結局著者は鳩尾に二発食らうわけだが、それでも相手のことを慮るなんて。そういう人の書いたものと思って読むとまた趣深い。
読了日:03月19日 著者:小津夜景
神聖喜劇 (第一巻) (光文社文庫 お 9-5)神聖喜劇 (第一巻) (光文社文庫 お 9-5)感想
「え、そんなこと云ったら酷い目に合わされるでしょ!」とドキドキしながら読み進めると、案外そうはならない。理不尽さには理不尽さの所以がある、というようなことが回想からの回想や古今の書物等の引用をともなって延々と語られていく。敵地で敵国民を焼き殺したことが隠亡とつながるくだりには「すごい、そこまで云っていいのか!」と一瞬気の遠くなるような衝撃を受けた。小津夜景が勧めていた小説で、書店で5冊並んでいるところを見て腰がひけていたけれど、もっと早く読めばよかった。それくらいおもしろい。
読了日:03月28日 著者:大西 巨人
三橋敏雄の百句 (百句シリーズ)三橋敏雄の百句 (百句シリーズ)感想
俳句は初学者ながら「俳句ってこういうもの」という思い込みを次から次へと覆されてゆく。読みながら、句作はやめるかもしれないな、と思い、でも俳句を読むのはやめないな、と思わせる。以前『眞神』を勧められて読んだことがあるけれど、全然読めてなかつた。池田澄子の読みに教わることが多い。句集や歌集は手に入れることが難しいことが多いが、こうした名句集のような書籍は実にありがたい。
読了日:03月30日 著者:池田澄子

読書メーター

Sunday, 02 March 2025

2月の読書メーター

2月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1524
ナイス数:39

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策感想
前半は認知バイアスの話で、類書を読んでいると「もう読んだよ」と思ってしまう。この部分が「コミュニケーションの本質」なのだろう。後半は「解決策」の方で、いままで性格や非認知能力の低いせいだと思っていたことが実は認知の問題だったということが示されていたりもする。システム2で経験を積んでシステム1の精度を上げましょうという話なのだと思うが、それがむつかしいんじゃないのと思うし、作者も指摘しているとおりその道を選ばない人は楽だ。楽をする人がフリーライダーになるのでは? それはそれでいいのかな。
読了日:02月02日 著者:今井 むつみ
幸せについて幸せについて感想
なんとなく違和感を覚えていることについて、「それは幸せといっていいのか」と云われること一度ならず。普段見ても見ていないこと、目を背けていることを見つめさせられる本。最近、詩(詩集ではないかもしれないが)を読んで同じように思うことが多い。
読了日:02月04日 著者:谷川俊太郎
いつかたこぶねになる日 (新潮文庫 お 115-1)いつかたこぶねになる日 (新潮文庫 お 115-1)感想
白居易の詩の訳が武部利男風なところとか、たまらないな、と単行本を読んだときも思った。文庫は持ち歩きやすいので、あちこちに持って行ってあちこちで読みたい。
読了日:02月10日 著者:小津 夜景
無垢なる花たちのためのユートピア (創元文芸文庫)無垢なる花たちのためのユートピア (創元文芸文庫)感想
以前表題作が無料公開されていた時に読んだことがある。70年代の少女まんがを彷彿とさせるような部分があると思ったが、その後著者のエッセイでまんがは読まないということを知った。知らないで書くと似るというのはこういう現象なのか。著者の短歌にも感じることがある瞋恚を昇華させたようなきらめきが随所に見られるように思う。とても冷静に自身の怒りに相対している感じ、とでもいおうか。こういう感想って読む側の限界だな、と思いながらも記す。
読了日:02月15日 著者:川野 芽生
Macbeth (AmazonClassics Edition) (English Edition)Macbeth (AmazonClassics Edition) (English Edition)感想
テナント&ジャンボの『マクベス』をスクリーンで見ていろいろ確認したくて読んだ。舞台の方はあちらこちらをカットしていたんだな。史記の淮陰侯列伝を読んだ時も思ったけれど、よく使う云い回しが出てくると「うわっ、出た!」とものすごく盛り上がる。出典はこれなんだー、という気分。あと『マクベス』というとどうしても『蜘蛛巣城』を思い出してしまうのだが、ここからあの映画になるのかー、としみじみしてしまう。思っていたより「男(man)」であることを重んじる内容に思えた。
読了日:02月17日 著者:William Shakespeare
Macbeth (NHB Classic Plays): (Donmar Warehouse edition) (English Edition)Macbeth (NHB Classic Plays): (Donmar Warehouse edition) (English Edition)感想
演出のマックス・ウェブスターをはじめ美術、音響と音楽それぞれ担当及びディヴィッド・テナントとクシュ・ジャンボのインタヴュー記事、リハーサルの記録、そしてリハーサル時点での脚本が掲載されている。インタヴューでは持続可能性に関しての質問があることに驚いた。ナショナル・シアターの『フェードル』に使った大道具を再利用したという。またジェンダーの問題についても話していて「ベクデル・テスト」ということばも見える。インタヴューを読んだあとだと原作からカットしたり変更したりした部分もよりおもしろく読めた。
読了日:02月23日 著者:William Shakespeare
星の嵌め殺し星の嵌め殺し感想
一首一首書き写しながら再読。書き写すうち、自分もこんな歌が作れたらなあと思うことしばしば。この字が好きなのかなあとかこのことばをよく使うなとか思うことも。書き写す時は一旦記憶して、でもひらがなか漢字か、空白があるのか句読点が打たれているかなどを確認しつつしていた。詩は、覚えることに意味がある。といってここに掲載されている歌はなかなか覚えられないのだけれど。
読了日:02月26日 著者:川野 芽生

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