5月の読書メーター
5月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1098
ナイス数:33Ghosts (New York Trilogy)の感想
例えば職場にいる時は自分が存在していることに疑問を抱かないが、何かの瞬間にひとりになった或いは自分はひとりだと感じたときに自分は本当に存在するのか定かではない、という感覚に似ているだろうか。物書きは幽霊だという。書くことは孤独な作業で、書き手は自身の人生を生きてはいない。そこにいてもいない幽霊のようなものだ、と。だいぶ前に翻訳で読んだけれど、色に関することばをどのように訳していたか気になる。blue flimとか。
読了日:05月01日 著者:Paul AusterThe Locked Room (New York Trilogy)の感想
どうやったらこの世から消えることができるのだろうか。ニューヨーク三部作を読んで思うのはそのことだ。この世から消えたい、とか、誰でもない人間になりたい、とか、そんなことを考えている人は思っている以上に多いのかもしれない。三部作のうちこれだけは初めて読む作品だった。翻訳も読んでみたい。
読了日:05月06日 著者:Paul Auster世界はラテン語でできている (SB新書 641)の感想
豆知識のオンパレード。謎解きのないなぞなぞ本のような感じ。巻末にお勧めの書籍や参考文献がたくさんあるので読んでみたい。幸い書店で入手できるものもありそうだし。
読了日:05月07日 著者:ラテン語さんThe Barnum Museum: Stories (English Edition)の感想
短篇集ながらどれも中篇以上の作品を読んだような気分になる。ものの名前(名詞)がたくさん出てくるからだろうか。この点は古い本格推理小説にちょっと似ている気がする。推理小説では凶器を隠すためにそうすることが多いのだが、こちらは読者にしっかりとしたイメージを持ってもらうためにしている気がする。そうしておいて落とし穴の蓋を取り去る感じ。嫌いじゃない。他の作品も気になるな。
読了日:05月27日 著者:Steven Millhauser現実入門: ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫 ほ 5-1)の感想
『短歌の友人』の中で穂村弘は歌人の短歌の読み方について「「生のかけがえのなさ」が、一首の中でどのように「かたちを変えて」存在しているかを把握する働きに他ならない。」と書いている。これを読んでからこと穂村弘の短歌はこういう視点で読むようにしているのだが、エッセイはどうなんだろう。この本はどこからどこまで本当で嘘なのかよくわからないが、やはりどこか「生のかけがえのなさ」を描いているように感じられる。
読了日:05月30日 著者:穂村 弘語り手の事情の感想
ヒトはなぜ性にまつわることを隠すのか。種の存続に必要なことだというのに。というのが、おそらく『後宮小説』の背後にもあって、この作品にもある。この作品の舞台がヴィクトリア朝の英国なのは、「性的なものなんてない」とでも云わんばかりに隠しおおせんとした時代・国だからだろう。だからだろうか、この本を読むとチラリズムといおうか隠すことこそ色気を生む元であり、そういう意欲を生む元なのではあるまいかと思えてくる。
読了日:05月30日 著者:酒見 賢一
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